TBS「中井正広のキンスマ」に出演していた
筆談ホステスの斉藤里恵さんが
何度も失恋している男運の悪い後輩ホステスが
もう二度と恋はできないかもと落ち込んでいたときに
「風呂で転んだからといって
 二度と風呂に入らない人はいない」
といって慰めたエピソードを披露していました。

僕もカミさんが失敗して落ち込んでいるときに
同じ言葉を何度か掛けました。
別にセリフの著作権を問題にしている訳ではありません。

中学3年のときに買って今もたまに見る
「お楽しみはこれからだ PART2」(和田誠著 文芸春秋刊)
に載っています。
この本は和田誠さんが見た映画の中の
気になるセリフを自分で描いた似顔絵イラストともに
キネマ旬報に掲載したものをまとめたものです。
最初の「お楽しみはこれからだ」が1975年刊で
PART7が1997年刊なのでおよそ四半世紀にわたるシリーズです。

映画が好きだけど、高校受験勉強中の限られた時間の中、
つまらない映画は見たくないので
面白そうな映画を探す指針にしていたシリーズです。
全7巻(PART8が出ていなければ)透明カバーをかけ、
本棚のすぐに取り出せる場所に置いてあります。

風呂のセリフが出てきたのは
「グラン・プリ」(1966)で、
レースで事故を起こし、友人ドライバーが重傷を負ったため
レース出場を中断している主人公を、
再びレースに出場させるために使われた。

「バスルームで転んだ男が、二度と風呂に入らなくなるかね」

主人公を演じたのはジェームス・ガーナーで
説得をするのは日本の自動車会社を演じる三船敏郎。
和田さんによると、外国映画に登場する日本人としては
最大のカッコいい役らしい。

大好きなジョン・フランケンハイマー監督のこの作品を
僕は今まで観るチャンスがなかった。
でも、風呂で転ぶセリフはなぜかよく覚えていて、
機会があれば今でも使う。
因みに僕は風呂で滑ることはよくあるが、
転んだことはない。