次の画像は『秘伝千羽鶴折形』の「竜胆車」の切り込みの仕方と折り上げた作品です。
4羽で幾何学的な美しさがありますが、これを見ていると多くの人がこの羽数を3羽、5羽、6羽といろいろと変化させたく思われるでしょう。
実際、重ね折りでつなげば、どのような羽数でも可能ですが、それでは面白みが半減します。
重ね折りでつながないというルールで、どのような羽数が可能かと考えるのですが、4羽から1羽減らしたり、あるいは1羽増やすといった、羽数が奇数の用紙の形は考えられません。
偶数羽であることが最低限の条件になり、まず6羽で考えてみようということで、用紙に切り込みを入れてみました。
長い接結部で羽同士がつながり、首・尾は他とつながらないで折り上げるのですが、この「竜胆車」に2羽を割り込ませた2×3の配置では、そのように折ることができません。
では、次に8羽ではどうか?
2×4の配置ですが、これは首・尾が他とつながらないで、折り上げることができます。
用紙の長辺の羽数が偶数だと首・尾が折り上がるので、つまりは4の倍数の羽数で「竜胆車」のように折ることができるということが分かります。
①:重ね折りでつながずに、「竜胆車」タイプで折ることのできる羽数は4の倍数(4n:nは自然数)
※
また「竜胆車」では、用紙の表裏両面を見えるように折るインサイドアウトで、色のコントラストをつけるのも楽しく、よく向かい合わせの2羽が同色で折られます。
このインサイドアウトですが、他には隣を同色にして2羽ずつのインサイドアウトにしたり、4羽のうちの1羽だけを変えることもできます。
これは用紙の切り込み箇所が羽の前(または後)同士で、表裏どちらに折っても、その両隣に影響しないからです。
では、先ほどの8羽で、この1羽ごとに表裏交互のインサイドアウトができるかということですが・・・
完成形の鶴の形まで折らなくても、基本形の菱形に折ることができればいいと、予め折り筋をつけて1羽ずつ順に畳んでいきます。
しかし、折り進んでいくとスペースに余裕がなくなってきて、最初に折った所が開いてきだし、いつまでたっても畳み終わることができません。
では・・・と、畳む順を変えて、角の1羽を折った次はその両隣を「裏折り」にし、またその両隣を「裏折り」に・・・というつもりでも、すぐに続けて折っていくことができなくなってしまいます。
結局、基本形の菱形にすべて畳むには、最初の1箇所のみのインサイドアウトということになります。
隣とのつながり方に着目すると、四隅にあるものは羽の前(または後)の同じ側でつながり、両隣に関係無く、表裏どちらにも折ることができました。
ところが8羽にするのに割り込ませた、言わば辺に当たる部分では、羽の前後でつながり、これがインサイドアウト、つまり「裏折り」をするときに捻じれる原因になっています。
(裏折りしなければ捻じれません。)
『秘伝千羽鶴折形』には、同じく長い接結部で5羽が羽同士でつながる「芙蓉」という作品があります。
これを端から1羽ずつ表裏交互のインサイドアウトで折っていくとき、次々に捻じれていくのが解ると思います。
まだ多くの例を見たわけではないですが、左右、上下、表裏といった要素を考えに入れず、隣とのつながり方ということだけで考えると、折鶴が羽でつながるのは二通りです。
この二つをそれぞれ「A原子」「Z原子(Nでもいいですが、Aとの対ということで)」と名付けておきます。
また、少し説明の仕方を変えて、次のように性質もまとめてみました。
連結する両隣に関係無く、表裏どちらにも折ることができる。
接結部が、1羽の羽の先端を結んだ対角線の反対側であり、
「裏折り」をすると捻じれが生じる。
※
羽数を増やすには、このZ原子の連なった「辺」に当たる部分が必要になりますが、捻じれが生じても、最終的には鶴に折ってきれいに広がっていればいいわけで、発想を少し飛ばしてみます。
(重ね折りでつながずに、インサイドアウトで「竜胆車」の羽数の多い作品を折ることを目指していますが、)A原子の両翼に同数のZ原子が連なる、このL型の用紙の両端を、A原子の形になるように重ね合わせます。
これを想像でうまく形を整えて1/4球にして、2つのA原子をそれぞれ地球儀(バスケットボールやスイカで想像してもいいです)の北極と南極に置きます。
地球のような超巨大な球で考えると納得しやすいと思いますが、球面の上ではこの用紙は「平面」に見なすことができます。
「平面」に見なすことができなくても、続けて御拝読のほど、よろしくお願いいたします。
一方のA原子から始めて、その両隣のZ原子を同じペースでインサイドアウトに折っていきます。
(「原子」という言葉を使ったので、その複数がつながったものを「分子」と呼ぶことにします。)
途中、クルクルと捻じれていきますが、左右同じように捻じれていくので、もう一方のA原子を折る最後近くには、全体としては捻じれが解消しています。
今、裏折りをしていくのを左右同じように1羽ずつで考えていますが、そうでないと捻じれてしまうということではありません。
2つのA原子(南極と北極)の間にある左右同数のZ原子は、その分子の中の「裏折り」の合計の数が左右で同じなら、捻じれは解消する形になります。
※
さて、当面の目的が、重ね折りでつながずに、「竜胆車」タイプで、1羽ごとに表裏交互のインサイドアウトにして羽数を増やすということで、「竜胆車」の角のA原子4つそれぞれに、A原子を「ハンドパワー(Mr.マリック)」で押し込むというイメージで話を発展させます。
一つのA原子にもう一つのA原子を押し込んだ結果、両隣との2次元の連結のシガラミから、3羽分に分裂しました!
「ハンドパワー」や「分裂」に納得できなくても、続けて御拝読のほど、なにとぞお願いいたします。
イメージが飛躍し過ぎで、「ハンドパワー」や「分裂」に納得できない方がほとんどだと思いますので、もう一つの考え方として、A原子の両翼にZ原子を連結したA分子を設定し、すべてA原子をA分子に置き換えることにします。
四隅のA原子に、両隣のZ原子を首・尾の方向の対角線で半分に折って重ね合わせると、元の4羽の「竜胆車」になります。
説明はまた後でしますが、この12羽の連結は、捻れを生じずに1羽ずつ表裏交互のインサイドアウトで折ることができます。
※
4羽から12羽に増えましたが、さらに羽数を増やすのに、A原子をA分子に置き換えることを繰り返すと、8羽ずつ数が増えていきます。
小さな用紙を大きくすることはできないので、逆に大きな用紙から小さな用紙を切るように考えると、一辺が偶数の羽数の正方形から、もう一つ小さい偶数の羽数の正方形を切り抜いていくことになります。
この用紙の形を、m(0を含む正の整数)を使って式に表します。
{2(m+1)}²‐(2m)² 和と差の積に変形する
={2(m+1)+2m}{2(m+1)‐2m} 以下、展開・整理する
=(2m+2+2m)(2m+2‐2m)
=(4m+2)×2
=8m+4
=4(2m+1)
最後の式のひとつ前の形、8m+4から8羽ずつ数が増えていくことが分かりますが、1羽ずつ表裏交互のインサイドアウトで折ることができるのは、4の倍数でも、奇数に4を掛けた羽数だということになります。
次のようにすると、計算式と実際の用紙の関係が分かりやすいでしょうか。
先に、球面で南極と北極にA原子2つを置き、捻じれが解消するモデルを考えましたが、それはA原子の間を同数のZ分子2本でつなぐもので、南極と北極を結んだ線で対称でした。
平面上ではA原子4つが正方形の角になり、それぞれのA原子をZ分子がつなぎます。
対角にあるA原子を結んだ2本の線どちらでも対称になって、捻じれが解消します。
余談ですが、球面やその他の曲面上で考える幾何学を「非ユークリッド幾何学」といいます。
この「非ユークリッド幾何学」では三角形の内角の和が180度とは決まっていません。
3つのA原子の1つを北極(或いは南極)に置き、残りの2つを赤道上に置いて、それぞれの間の3辺が同数のZ分子になることも考えられます。
ただし、この場合、奇数なので1羽交互のインサイドアウトはできません。
「非ユークリッド幾何学」という言葉を持ち出したついでに言っておきますと、今、私が「竜胆車」タイプのインサイドアウトについていろいろ考えを巡らせている、この考え方を「トポロジー(位相幾何学)」というそうです。
伸ばしたり、縮めたり、曲げたり、ゆがめたり(切ったり貼ったりはしない)して、重ねられるものは同じもの(同相)とみなすのですが、用紙の中央に切り込みを入れた「竜胆車」の切り図は、トポロジーの用語では「アニュラス」になります。
ごく最近にトポロジーの入門書をちょっと読んだだけ、そして日常ではほとんどこういった話をしない私には、なかなか馴染めない言葉です。
「竜胆車」の切り図は重ね折りでつながないことから「閉じた切り図」、また、羽数の制限なしで、重ね折りで好きな数だけつなぐのを「開いた切り図」とでも呼んで区別したい気がします。
②:重ね折りでつながずに、「竜胆車」タイプで、1羽ずつ表裏交互のインサイドアウトで折ることのできる羽数は、奇数に4を掛けた羽数。
一応、羽数に関しての結論は出ましたが、更に考察と検証を重ねていきます。
※
用紙の変形について考えようと、12羽、20羽の切り図をいくつか用意しました。
まずは12羽です。
次に20羽です。
折り返すかたちでA分子を移動させていますが、数の多い20羽では他にもいろいろ(十字形など)考えられます。
これらすべてが同相で、1羽ずつ表裏交互のインサイドアウトで折ることができますが、今、取り上げているのは基本的には、数式で自然数nを使うと4(2n-1)となる4辺の羽数の等しい用紙形です。
式の変形をすると2×2(2n‐1)、つまり用紙の形は長方形になります。
A分子の移動ではこの長方形への変形ができず、また、次の12羽の長方形の用紙では、1羽ずつ交互のインサイドアウトに折ることができませんでした。
※
長方形の用紙については、先の8羽の場合が1羽を裏折りしただけで止まっているので、インサイドアウトの配置パターンを変えて考えてみます。
結果から言うと、〇印をつけた所とそうでない箇所とで、2羽ずつのインサイドアウトにすることができます。
同色に折る2羽を1羽に見なして考えると、A原子4つで折っていることになります。
これが同色にするペアを変えると、また捻じれが生じてうまく畳むことができません。
ここでA原子とZ原子について振り返っておくと、
A原子:接結部が、1羽の羽の先端を結んだ対角線について同じ側であり、
表裏どちらに折っても連結する両隣に影響しない。
Z原子:接結部が、1羽の羽の先端を結んだ対角線について反対側で、
「裏折り」をすると捻じれが生じる。
このことを踏まえて、同色に折る2羽をひとまとめにして、羽の先端を結んだ線を描き入れてみました。
「く」の字形に曲がってますが、接結部がその線について同じ側か反対側かにだけ注目します。
接結部は、同色(同サイド)に折る羽の先端を結んだ線について、全て同じ側です。
これは「竜胆車」と同じに見なすことができます。
同色にする2羽のペアを変えた場合ですが、羽の先端を結んだ線について、全て接結部が反対側で、捻じれが生じます。
ひとつ目の例で推測できますが、この長方形の用紙形で羽数を増やすとどうなるかというと、縦の2羽をペアにすれば、4の倍数の羽数は、全て2羽ずつのインサイドアウトで折ることができます。
※
インサイドアウトに関しては羽数だけでなく、その用紙形すなわち接結の仕方も係わっています。
そこで、羽数が少なく、バリエーションの多い 12羽でのインサイドアウトの配置パターンと用紙形とについて検証していきます。
表と裏に折り変える羽数の組み合わせとして、
①:1羽ずつ交互のインサイドアウト
②:2羽ずつ交互のインサイドアウト
③:3羽ずつ交互のインサイドアウト
④:1羽と2羽のインサイドアウトの組が4組
⑤:1羽と3羽のインサイドアウトの組が3組
⑥:6羽のインサイドアウトが2組
以上の6パターンが考えられます。
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考えやすさから、まず、③の3羽ずつ交互のインサイドアウトからにします。
4羽の「竜胆車」から羽数を増やすのに、A原子をA分子に置き換えましたが、その分子単位でインサイドアウトにできます。
同色(同サイド)に折る羽の先端を結んだ線に対して接結部が全て同じ側で、構造的には4羽の「竜胆車」と同じです。
同色(同サイド)に折る位置を一つずらせました。
同色で折る場合はZ原子でも捻じれが生じないので、3羽分を1羽に見なして、裏折りする隣とのつながり方に注目します。
これも構造は同じです。
長方形でも同じく、羽の先端を結んだ線について接結部が全て同じ側です。
3羽を1羽に、長方形を正方形に見なせば「竜胆車」そのものです。
一つ位置をずらせましたが、羽の先端を結んだ線について接結部が全て反対側です。
同色(同サイド)に折る3羽分を1羽に見なすと、Z原子4つの構成ということになります。
鶴の嘴が全て上を向くように、接結部を短くして形を整えましたが、このような捻じれが生じています。
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3羽の次に1羽ずつ交互のインサイドアウトです。
切り図は、3羽の例の最初のものを基にします。
3羽ずつ交互のインサイドアウトの状態から、四隅のA原子をさらに裏折りすると考えます。
「裏の裏は表」で、1羽ずつ交互のインサイドアウトということになります。
構造は、「竜胆車」のA原子の間にZ原子が2つずつ入っています。
長方形の用紙ですが、接結部を短くして形を整えようとしても、かなり捻じれています。
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次は2羽ずつ交互のインサイドアウトです。
先に長方形の用紙について、8羽で考えた縦の2羽をペアにする配置の確認をします。
同色(同サイド)に折る一続きの複数羽を1羽に見なして、AまたはZ原子1つとして構造を考えると、捻じれの有無を判断するのに便利です。
これからはこの手法を特に断らずに使っていきますが、この場合は6つのA原子になります。
位置を一つずらしたパターンです。
これが同じように2羽ずつのインサイドアウトに折れるのですが、正方形の用紙の場合とあわせて考えることにします。
正方形では位置を一つずらしても、90度傾けて縦横を入れ替えれば全く同じになり、2羽ずつの配置は1種類だけになります。
「原子」や「分子}といった言葉を使ってますが、物質の化学式をまねて構造式風に描き入れました。
これは2つのA原子を南極・北極に置いて考えた、捻じれの生じないモデルと同じです。
そしてこれを伸縮性のあるゴムでできていると考え、内側と外側とをひっくり返します。
切り込みの入り方が入れ替わって、先の長方形の用紙の切り込みと同じになります。
長方形の用紙での構造式風なのもまた同じです。
以上のことから、2羽ずつ交互のインサイドアウトでは、用紙形に関係無く、またどこから折り始めても、捻じれずに折り上げることができます。
*
続いて1羽と2羽のインサイドアウトですが、最初のものは一目瞭然で説明は不要でしょう。
位置を一つずらしたものの確認です。
長方形の用紙についてです。
このパターンは正方形のものと同じで、A原子4個の間にそれぞれZ原子1個ずつが入り、捻じれずに折り上げることができます。
そして一つずらした次のパターンでは捻じれが生じます。
構造式風なもので確認しておきます。
鶴の嘴が全て上を向くように、接結部を短くして形を整えました。
2度クロスして、両端で鶴が内向き、中央は外向きの輪にまとめています。
最初にした、3羽ずつ交互のインサイドアウトで捻じれたものと、同じ程度の捻じれ方です。
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1羽と3羽のインサイドアウトです。
左上の角の1羽を一つ右に移して 玉突き的に考えると、全体としては変化がなく、配置パターンは一つです。
長方形の用紙でも、一つずらしても同じことになり、配置パターンは一通りです。
接結部を短くして形を整えましたが、2度捻じって鶴をつなげたような形で、かなり捻じれています。
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最後に6羽2組のインサイドアウトです。
6通りですが、すべての配置パターンはA原子2つになり、捻じれは生じません。
実際には私は折っていないのですが・・・
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以上、12羽でのインサイドアウトの配置パターンと、その用紙形について見てきましたが、捻じれの生じない例には、
・全てA原子
・4つのA原子の間に、それぞれ同数のZ原子がある。
などがありましたが、2羽ずつ交互のインサイドアウトや、1羽と3羽のインサイドアウトのような場合もありました。
そこで、すべてをまとめるような「捻じれの生じない条件」を考えてみます。
原理としては、2つのA原子を南極・北極に置いて考えた、捻じれの生じないモデルで、南極と北極を結んだ線で左右対称になっています。
「全てA原子」であったり、「4つのA原子の間に、それぞれ同数のZ原子がある」という状態も「2つのA原子を結んだ線で対称」に当てはまります。
*
複雑に捻じれた状態をいくつも見てきたので、メビウスの帯のようにシンプルな形を提示しておきます。
Z原子を一つ裏折りすれば、クロスする箇所を挟んで鶴が外向きと内向きになります。
これまで見てきた12羽のインサイドアウトの配置パターンの全て(6羽2組は除く)です。
※
池田総一郎氏の『つなぎ折り鶴』には、接結部を1/4ずらした様々なバリエーションが紹介されています。
その中の「羽生(はにゅう)」は「竜胆車」と同じく羽どうしでつながり、「竜胆車」の発展形と言えますが、インサイドアウトも同様にできます。
4羽のアニュラスでは、他にもインサイドアウトのできる作品があるので試されるといいですが、頭と尾をつなぐ12羽の「祈りの輪―直・乱」も、これまでしてきたのと同じように、それぞれのパターンのインサイドアウトが可能です。
また、「祈りの輪(3輪)明生」も一部で裏折りにできます。
※
今回の考察・投稿のきっかけになったのは、SNSで知り合った折紙友だちの、昨年6月末のつなぎ折り鶴を花火に見立てた作品でした。
その後、11月の日本折紙協会主催「おりがみカーニバル」に出品されましたが、「トポロジー」という言葉を知ったのもその人からです。
次がその考案された切り図ですが、A分子の移動や、先の「2つのA原子を結んだ線で対称」という捻じれの生じないモデルの条件では説明できません。
36羽には次のような別案もあります。
28羽と36羽の切り図は点対称ですが、20羽の切り図でA分子を移動させると、内側に突き出た4羽の連なりが目立ちます。
20羽の切り図ですが、正方形からの変形は切った貼ったで、トポロジー的でない仕方しか思いつきません。
A分子の移動を2箇所でさせて、4羽の連なりが出てきましたが、外側です。
切り図と同じにするには、やはり切り離して貼り直すしかありません。
この4羽の連なりは、12羽のインサイドアウトについて考えたとき、長方形の両端にありましたが、これまで考えに入れていませんでした。
このL字形の用紙から長方形には変形できません。
そこで正方形の用紙と長方形のとは同相でないということで、長方形で1羽ずつ交互のインサイドアウトができない結果に、納得して終わっていました。
この4羽の連なりを「2A分子」と呼んでおきますが、これを使ってひとつ確認したいことがあります。
3つの2A分子でどのようなつなげ方があるか
また、ちょうど12羽になりますが、それを1羽交互のインサイドアウトにして、きれいな形に整えられるかです。
トポロジーでは切ったり貼ったりはしないということですが、私には想像が追い付かないので、現物を作ってみないことにはどうにもなりません。
まずひとつ、テープでつなげてみました。
「非ユークリッド幾何学」で球面上の三角形について触れた時、3つのA原子の1つを北極(或いは南極)に置き、残りの2つを赤道上に置いて、それぞれの間の3辺が同数のZ分子になることも考えられると言いました。
その3つの頂点のA原子が2個になったらどうなのかということです。
画像では鶴に折っていませんが(折る気が失せるほど)、かなり捻じれます。
実際、一度は折ったんですが、捻じれが強くて、テープで貼り合わせた所が離れてしまいました。
次は20羽の切り図をベースにイメージした、2A分子が四角形の内側につながった形です。
これが1羽交互のインサイドアウトで形が整います。
切り図に原子を(表に折るのを赤、裏に折るのを白)描き入れ、つながりを表す線分が交差しているのを、構造式風に整理します。
画像の右の構造式風の図は、ちょうど左右で同じ順で原子が並び、表裏が逆になっています。
また3連続しているA原子については、表裏の順を両端の側(真ん中の逆)にして一つに見なすと、構造式風の様子は次の画像の左のようになります。
どの一番遠い位置の対角をとってもAZ原子の組合せになっていて、このことに何か意味があるのかどうかも私には解りませんが、気が付いたことでメモしておきます。
前に12羽で何通りものインサイドアウトの配置パターンについて見ましたが、羽数が増えればつながり方のもっと複雑なバリエーションも多くなってくるのは当然です。
それらをひとつひとつ折って確認するのではなく、どのようなパターンのインサイドアウトが可能なのか、判別する数式ができないかと夢想しています。
この12羽のA原子が隣り合う2A分子の場合も、数式で表せないものでしょうか?
ここまでご覧になって興味を持たれた方に後を託して、これで終わりたいと思います。