日々の暮らしを
かなしいかな
キミと暮らすひとのFBで垣間みる
モノを置かぬ部屋に住み
所帯じみたことなど
なにもしなかったキミが
庭の手入れをしたり
日常の買い物をしたり
ペットのケアをしたり
歳月や年齢が
キミを見知らぬ誰かに変えたのか
誰しも
年を重ねれば変わるのか
それにしては
なにひとつ代わり映えしない自分に
嫌気がさす
キミのように
そんなふうに
別人のように変わっていけたなら
心さえも変わってしまえたなら
こんな想いも断ち切れて
いまは昔の
のどかな思い出語りさえ
できたでしょう
娘が借りた映画(DVD)を
本人はデートに出かけちゃったので
仕方なく ソファに陣取り ひとりきり
バカみたいに 観る
十代二十代が観るような恋愛ものです
いまさら私が観てどうするよ
わかりきったオチのあたりでこの台詞
「ずっと一緒にいたいくらい好きなんだ」
ああ
私はずっと一緒にいるのが こわかった
自分が ぐうたらで 結構イヤな人間で
本当は 全然可愛くもなくて
人がいないところで
足を広げて どっしり腰掛けて
喉の奥まで見えそうなくらい大欠伸して
行儀悪いだけじゃない
卑怯で矮小で色々最低だ
いやしくて つまらない人間なのがバレて
呆れられ 嫌われるのはこわい
だから夏休みだって
日に日に何度も会いたいと思えなかった
たくさん会えばボロが出そう
頑張って いい子のふりしても
彼方此方に綻びが…
臆病な了見で
本当は会いたくても会えなかったことを
いまなら反省するよ
会いたいとき会えるだけ会えばよかった
いくら取り繕ってみても
はじまりから終わりまでの時間が
延長するとは限らない
好きなら好きと言いなよ
会いたければ会いたいって伝えなよ
温存しようなんて謀っても
細く長くなんて企んでも 無駄だね
すべてを 思いどおりに操るなんて できません
ひとつずつ すこしずつ 雨粒みたいに
ときに連動して 合体したり 速くなったりして
刻とともに なにもかも 移ろい行くのです
ふたたび サンセットライン
海べりの鄙びた道路は
行き過ぎる町もまた旧めかしい
錆びて朽ちるのを待つ手摺り
潮の香りと魚臭さが混ざり合う
群衆じゃなく人間一人一人の
暮らしを思う小さな港町
道が狭いのがたまにきず
連休は車もバイクも自転車も多くて
すいすいとは進めない
町を過ぎ海沿いへ
ここから見る瀬戸内は
名高い多島美も やや遠くに揺らぎ
思ったより広く海が続く
島には似合う背の低い町並み
職人ひとりの手で間に合う家々
北西に展開する山陽路には
ぽこぽこ立ち並ぶビル
人ひとりの手には負えない
四角いコンクリートの箱また箱
あ 海鳥が飛んだ
消波ブロックに待機していた黒い鳥だ
海面に近づいた魚を見つけたのか
気まぐれか
海を掠めるように弧を描く
今日の漁はどうですかと
鳥に問うても答えは返らない
私は母の故郷の島に渡る
普通列車で港町を目指し
港からフェリーに乗って
島の港で自転車を借りる
そしてようやく目的地へ
海渡る橋を風に吹かれて走る
十年二十年…夜と朝を幾つも重ね
変わらぬ穏やかな表情で
島は海と ともにあり
誰にだってひとりやふたり
忘れられないひとがいる
そうなのかな
否 それとはすこしちがう この感じ
何人何十人 出会っても
つまるところ ただひとりのキミ
キミといるときの感覚は何?
ぞくりと毛が逆立ち
からだじゅうの細胞がガサガサ
落ち着きをなくし ざわつく
それでいて ほろ酔いみたいに心地いい
魂は まどろみ 気を抜いたら 堕ちる
とてもとくべつで
ほかになにをどうしても
そんな感じにはなれない
ぼくのなかの
ぼくであって ぼくでないものまで
キミの存在を歓び
沸きたつ血で 祝杯を
躍る肉のご馳走で 祝宴を
どこかプリミティブな感じ
過去 記憶 柵 責任
なにもかも脱ぎ捨て 言葉も失くし
触れるだけで その一瞬に
ぼくは きっと天に昇る
記憶とは別の次元でキミは
ぼくのどこかにプログラムされている
切り離す術も削除するコードも
ありません
どうしてもと言うならば
ぼくが消えればいい 消せばいい
ぼくが消えれば そのなかのキミも消える
そういうものだろう