元クライマー…イイワケの山を下山できるか??の巻
先日26日は、二つのイベントがあった。
ひとつは
僕の唯一の趣味である
空道の大道塾全日本大会。
大道塾は、極真空手の全日本チャンピオンの東孝先生が、極真ルールに、
顔面へのパンチ、肘、頭突き、投、絞、関節、金的攻撃
を加えた流派で、
昔は「格闘空手大道塾」として名が通っていたが、
現在は「空道・大道塾」と改名。
◇動画は大道塾支部長・本部の許可を得てアップしています
広島岩国道場からは、先輩同輩の3人がシニア全日本に参戦。
ひとりは息子が中学3年の頃、東京でボクシングU15の試合のとき、会社の宿舎を提供してくださったり応援してくださった先輩。
その先輩はその後、関東関西に移られて大道塾西日本シニア大会で優勝。近年広島に帰られ、十五年前後ぶりに再会。
あとのお二人は、ほぼ毎年、全日本や九州大会に出場し、超重量級で昨年優勝と、
もうひとりは、僕の良きライバル的な人で、
同じ60歳代で、この方も、出れる試合はみな出られ、日々すさまじい練習量をこなしている人。
結果は、昔からの先輩がシニア重量級で準優勝。
出れる試合は全部でておられるお二人と比べ、
僕はと言えば、昨年の頭強打によるむち打ちとか、ガラスの破片が足裏に入って出てこなくなったりしたとか…、言い訳の山を築いているに過ぎない。
今月広島駅裏に移転のため引っ越し作業中の広島道場。
選手なのに自分の練習時間を引っ越しのマット敷き作業をしておられました。
新広島道場は広島駅から徒歩10分、清潔感もありちょっとイイ感じ。
見学体験歓迎です。一緒に汗を流してみませんか???
こんな倒し合いの試合は、出るのと観るのとは大違いどころではない違いがある。
試合は一日でも、それまで仕事を調整したり、血のにじむような努力の毎日…。
試合が近づけば、緊張とプレッシャーと勇気は、出た者でないとわからない。
そんな試合に出る人は、普段は穏やかで礼儀正しい。
そんな人は、尊敬を越えているけど、
自分自身と対比をすると、
この大変なプレッシャーやコワさを乗り越えて、
イイワケの山を築かず、何時か、自分も彼らの仲間入りができるのか、
さらにイイワケの山を高くしていくのか…そんな想いが渦巻いていく。
26日は2つ行事があると書いたけど、
もうひとつは、アマチュアボクシングの山口県大会。
今年、稽古を復帰してから、
仕事が柳井のとき、
パンチの強化でときどきお世話になっている石橋ボクシングジムからも子供二人、
高校生ひとりと…、36歳の先輩がひとり二回目の出場をすることになっていた。
この日は、柳井で仕事が休めなかったんで、広島道場の稽古は参加せず、
仕事の時間ギリギリまで、このボクシングの試合の応援に駆け付けた。
息子↑は小学4年から、大竹市の大竹ボクシング(小出ジム)でお世話になり、僕は保護者として、大竹ボクシングを手伝わなければいけない恩と義理があるけれど、
僕はいろんな活動や生活、自分が強くなることを優先し、大竹ボクシングには顔をださず、
自分中心の稽古ばかりやっていた。
会場に着くと、石橋ジムの先輩たちは、元気な様子でアップして、
応援に来たことに喜んでくださった。
周りを見ると、
会場には、もう選手は引退した大先輩たちが、
審判、会場の設置、運営と、おおぜいがこの大会を作っているのがうかがえた。
選手ももちろん、僕のような出場もしない者とは比べ物にならない人間性、
体と同時に心も鍛えているからか、接していて、光輝いてみえる感じだ。
会場には、大竹ボクシングの会長、先輩方もたくさん来られていた。
誰でも忙しい中、これだけ、後輩たちのために力をつくし、
ボクシングというものを支えておられる姿に、自分との差を痛感した。
自分以外のために、これだけ、心を他人や、愛するボクシングのために向けている姿に感動した。
会場に到着してすぐ、大竹ボクシングの会長、先生方とばったり会った。
お~~山下さん!!と、
屈託のない笑顔をくれるけれど、
こちらは、手伝いもせず、恩も返さず、都合のいいときだけ、自分の練習のために
仕事場の近くの柳井のジムで練習させてもらったりの身。
逆の立場なら、僕はあんな笑顔を向けることができるかどうかわからない。
そんな、器の差を感じずにはいられなかった。
こんな男、こんなデカい人間になりたい。
なれるだろうか…そう思ってしまった。
その前に、
試合から逃げない、イイワケの山をつくらず、逃げない人間になる
ことが、その第一歩だ。
ここには、そんな逃げずに自分の心と向き合う人と、デカい心をもっている人が集まっている。
僕は、大きな海原を前にしたときと同じような壮大さを感じていた。
太平洋横断し、アメリカ大陸に到着したオリハルコン
そんな中、うちの息子と同じ、ボクシング全日本のU15(15歳以下)全国大会で、
息子と娘二人共優勝させた廣本ボクシングジムの看板選手(娘)のエルカさんとの再会もあった。お父上は、きょうは来られないので、現会長をしておられるエルカさんが選手を引率してきていた。
お父上とお会いできなかったのは残念だったけど、エルカさんは女子プロボクシングの
東洋チャンピオン。
兄と本人ともに、子供の頃ボクシングで全国一位を獲るって、それはお父上の指導力を体を張って証明していることにもなる。なんて親孝行なふたりなんだろう…。
二人を看板に、「廣本流」と、書いておられる。
チャンピオンになる前とくらべ、しなやかな、えらい「べっぴんさん」になっていて、
「親孝行」と、「夢の実現」と、3つも手に入れて、この日は裏方として、選手や大会を支える姿に感動した。
石橋ジムの戦果は、4人中3人が勝利。
自分のために、勇気をもって試合に臨む選手の心。普段の血のにじむような努力。
そんな選手だけでなく、後輩に、多くのエネルギーと時間を、あたりまえのように
捧げるコーチや先輩たちの心。
これはもう、太平洋の真ん中の大海原の碧や、大自然にも負けないくらいの
スゴイ心だと思わずにはいられなかった。
大道塾の全日本大会も、ボクシングも、
他にもたくさんそんな人たちの心が集まる場所はあるだろう。
大会ごとに遠方から会場づくりや審判に足を運び、
選手やこの武道を支えて下さる先生先輩方の大きな力。
そんなことを思うと、自分の小ささと、
心が洗われるような気持ちを禁じえなかった。
フレンチポリネシア ツアモツ諸島でのオリハルコン(「太平洋は学校だ」より)
大自然にも感謝だけれど、人間も、その自然の一部。
よく、「人間は自然には勝てないよ!」と聞くことがあるけれど、
それは裏を返せば、「人と自然は別…」と、宣言しているように感じてしまう。
人間も、自然の一部。
人間の心も、捨てたもんじゃないと思えてしまった一日だった。