隣の家の芝ほど、青く美しい

 

こんにちは。

 

さて、前回からの続きです。

下矢印

 

ネタバレしていますから「これから見ようと思ってるのに」という方は、スルーしてくださいね~。

 

超がつくほどの高級住宅地に住んでいても、そこに住む住人もまた、人知れず様々な悩みを抱えているものです。

 

一般庶民の遠藤家は「家のローンの支払い」に汲々とし、そして「娘の家庭内暴力」に苦しみ、一方で上流階級の高橋家と小島家では「お金では解決できない悩み」を抱え、それらを軸にして物語が進行してゆきます。

 

どの家にもなにがしかの問題があり、外側からはわからないものです。

 

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まさに「隣の芝は青くフッサフサ」。

 

特に、さと子しか住んでいない豪邸は、彼女の寂しい心のうちを十分にあらわしていたと思います。

 

夫は愛人のもとへ去り、愛する息子も去り、自分の取り巻きたちも、さと子の強引さについゆけず、みんな去ってゆきました。

 

そんな彼女に唯一手を差し伸べたのは、かつてさと子にいじめられた遠藤真由美だけでした。

 

悪役ともいえるマダム・小島さと子を演じたのが夏木マリさんで、見事でしたよ。

 

  犯人は誰なのか

 

「高橋氏を殺害したのは、妻か次男か。だとしたら一体なぜ?」という疑問が膨れ上がります。

 

事件の真相とは。

 

高橋家の主人・弘幸を殺害したのは、実は妻の淳子でした。

 

彼女は後妻で、「医者でもあった今は亡き先妻」の存在に、いつも脅かされていました。

 

特に先妻との間の子である長男・良幸は、京大医学部に現役合格できるほど頭が良く、次期病院長はこの良幸が継ぐことになっていました。

 

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しかし淳子の息子、次男である慎司は兄と姉に比べて、まったくといっていいほど勉強ができなかったのです。

 

淳子がわけへだてなく兄弟を愛したおかげて、長男(先妻の子)・長女(淳子の子)・次男(淳子の子)ともに、3人とも素直で明るく、優しくて近所でも評判の子に育ちました。

 

そういう意味でも、淳子の子育ては間違っていなかったと言えます。

 

しかし次男の真司だけが、あまり夫に似ておらず「バスケは得意だが、勉強が苦手」という面を持っていました。

 

彼女の、母親としての「弱点」がそこでした。

 

  母親の劣等感

 

事件が起きたのは、慎司の通う中高一貫校への、内部進学試験の前日でした。

 

発端は、夫である弘幸が「慎司には勉強ばかりやらせるな。慎司はそんなに勉強を頑張らせなくていい」と言ったことに淳子が動揺したことです。

 

その一言は「それは、良幸に比べて、慎司がダメだっていうこと?アタシの子だからダメなの?どうやったって、先妻であるあの人に、アタシは勝てないってこと?」と、彼女の怒りに火をつけるに十分でした。

 

ここが、彼女のインナーチャイルド(心の傷)です。

 

彼女が、つねに他者と比較されてきたことをあらわしています。

 

良幸も慎司も「同じ男の子」なのに長男だけが夫に期待され、次男は夫にあきらめられている。

 

長男は医師であった(勉強が得意な)前妻の子、そして次男は平凡な(勉強が苦手な)自分の子・・・。

 

夫は、そうやってつねづね自分を見下していたのではないか。

 

それが淳子には、悔しくてたまらなかったからでしょう。

 

「またか」という思い。

 

どんなに頑張っても、自分は前妻に勝てはしない。

 

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その瞬間、カッとなって夫の背後からトロフィーで殴りつけたことが、致命傷となりました(よりによって、それは長男の良幸が高校でもらったトロフィーでした。無意識って、怖いですね)。

 

  「家族を守る」ということの意味

 

殴られて転倒した夫は後頭部から大出血しながらも「・・・目が見えない。淳子、そばにいてくれ」と妻の手を握ろうとします。

 

まさか自分が、背後から妻に殴られたとは思わず、何が起きたかわからなかったからでしょう。

 

夫は別に息子を見限っていたのではなく「慎司には、勉強ではない別の道が向いている」と思っていたし、決して妻の淳子を軽んじていたワケでもないことが、ここでよくわかります。

 

そこで淳子は「大変なことをしてしまった」として半狂乱になって泣き叫ぶのです。

 

インナーチャイルドが暴走すると、このようなことが起こるというケースでもあります。

 

これはあくまで「おはなし」ですけれど、「怒り」というものはこのように、人の人生を破壊することがあるのです。

 

だから、大切なんですよ「インチャ癒し」。

 

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気の毒な母の身代わりになって、自首しようとしていた次男の慎司。

 

彼は事件当日、母のしでかしたことに気づいて、恐くなって逃げてしまっただけでした(まだ子供ですからね)。

 

それをマスコミの報道によって「犯人だから逃亡した」と、世間が信じてしまったのでした。

 

そんな世間の中傷から、この先家族を守るために「大切なのは『どう、証言するか』だ」と決意をし、マスコミに連絡し単独記者会見を行った長男・良幸。

 

彼はカメラの前で「暴君の父が家族に暴力を振るっていました。慎司は、そんな父の暴力から母と自分を守るために抵抗したんです。その結果・・・」と、亡き父をあえて悪者にして、自分たちの人生を必死で守ろうとしました。

 

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彼のついた嘘は亡き父を傷つけるものではありましたが、この先、世間から抹殺されないためには仕方のないことでした。

 

彼は弟妹を養うために、京都大学を中退することまで考えていました。

 

  誰しもみな「善人」

 

結局のところ「人というのは、こんなにも愚かでどうしようもなく、醜いものであり、誰かを傷つけずにはいられない」ものだと思います。

 

どの登場人物も本当はみんな、「善人」なんだけれど、自分の欺瞞に気づいていないだけです。

 

そして「善人」とは「自分の怒りに気づいていない人」のことでもあります。

 

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そこを見ないで「正しくあろう」とするから、つらいんですよね。

 

ずるくたって卑怯だってバカだって、生きていくためには仕方のないことだってあります。

 

そもそもが、「完璧でなくていい」ということを知っていれば、ここまでの悲劇は起きなかったろうとも思います。

 

人は高みを目指せば目指すほど、低いところへと向かってしまうものです。

 

「素晴らしく完璧なものなんてない。そんなものを目指さずとも、今あるものに感謝して、変化がないと思える日常こそ大切に」。

 

そんなメッセージが、この「夜行観覧車」に込められている気がしました。

 

自分の人生を楽しくのほほんと生きるために、あなたのインナーチャイルド、癒してゆきましょう♪

 

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