こんにちは。
 

  「夜行観覧車」を見ましたよ

 

2013年のドラマ「夜行観覧車」を見ました。

 

原作は「告白」「白ゆきひめ殺人事件」などを手掛けた湊かなえさん。

 

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主演は鈴木京香さん、宮迫博之さん、石田ゆり子さん、田中哲司さん、夏木マリさんなどベテランの方々です。

 

ある家族に起こる出来事を描いたサスペンスで、初回から惹きつけられてつい、全部見てしまいました。

 

「夜行観覧車」は現在、UーNEXTで配信されています。

 

  母親が主役の物語

 

ここから先はネタバレがありますので「これから見ようと思ってたのに」という方はスルーしてくださいね~。

 

「夜行観覧車」は、横浜にある超・高級住宅地「ひばりが丘」に越してきた遠藤一家と、その向かいに住む高橋一家がベースで展開します。

 

そしてひばりが丘の主ともいえるマダムが住む、小島家。

 

その3つの家族が、ある殺人事件との関わりによって崩壊・再生してゆくという物語です(ものすごいざっくりですが)。

 

病院を経営し、子供が3人いる裕福な高橋家にある夜、サイレンもけたたましく救急車が到着します。

 

運ばれたのはその家の主人で、病院長でもある高橋弘幸。

 

血まみれで倒れている夫のすぐそばで、泣きながら「こんなの、ない。こんなのイヤ」と泣いて半狂乱になっているのは、妻の淳子。

 

ドラマの冒頭からそんなシーンで「いかにも、事件性がありそう」「一体、何が起きたのか」と、一気に引き込まれます。

 

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  母も次男も、行方不明

 

夫に付き添い病院に着いた淳子ですが、まもなく夫は死亡。その結果を受けてひどく取り乱して倒れ、別室で点滴を受けていた淳子ですが、彼女はいつのまにか姿を消していました。

 

高橋氏の死亡状況は「後頭部を鈍器のようなもので殴られ、物盗りの形跡もない」ことから警察は、「顔見知りの犯行による殺人」と断定。

 

事件当日、まだ中学生である次男の慎司も姿を消したことから、警察は消えた母子が、何らかの事情を知っているとみてその行方を追います。

 

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  「ひばりが丘」というお土地柄

 

マスコミもその報道で加熱していますから、家族への誹謗中傷・憶測など、ネットであることないことを書かれ始めます(当時はまだ2ちゃんねる)。

 

その高橋一家の向かいに、つい最近越してきたばかりの遠藤一家。

 

引っ越し早々にこの住宅地の「洗礼」を受け、「そぐわない場所に越してきてしまった」ことに若干の後悔を覚えます。

 

ひばりが丘の住人は「坂の上」「坂の下」という言い方を多用し、自分たち「坂の上」に住む住人は、「坂の下」に暮らす一般庶民とは格が違うとばかりに振る舞い、「ひばりが丘で一番小さい家を建てた」遠藤一家を、最初から見下していました。

 

 

  親の悩みと子供の悩み

 

引っ越し当日から上流階級を気取る、嫌味な「ひばりが丘自治会・婦人部」のマダムたちにになじめない遠藤家の主婦・真由美。

 

そんな彼女に、向かいの高橋家の主婦・淳子だけが優し接してくれました。そして、高橋家・遠藤家ともに家族ぐるみの付き合いをはじめるようになります。

 

「この年になって、こんなに素敵な友達ができるとは」と、淳子も真由美も互いの存在を尊重し、婦人部のリーダー・小島さと子の嫌味や意地悪にも屈せず、真由美は「ここでなんとかやっていこう」と思うようになります。

 

そんな中、高橋家の主人が深夜、何者かによって殺害されるという事件が起こります。

 

事件の全容も犯人も不明なまま、妻も次男も消えてしまい、事件の被害者である残された子供たちは「殺人者の家族」というレッテルを貼られ、世間の心ない中傷に傷つきます。

 

また遠藤家の長女・彩花も学校でのいじめに悩み、特に母親である真由美に対しての暴言が増えます。

 

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  それぞれの家族の問題

 

母である真由美に「アンタの人生にアタシを巻き込むなよ!」などと叫ぶ彩花は、家庭内暴力を日に日にエスカレートさせてゆきます。

 

ひばりが丘に住み始めたことで、自分の友達関係がおかしくなったからです。

 

真由美の夫・啓介は、仕事のための独立資金として高橋弘幸から一千万円を融資してもらっていました。

 

しかしそれを妻に言い出せないまま事件が起こり、警察にそのことを指摘され、事情徴収を受けます。

 

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自治会婦人部のリーダーとして君臨していたかに思えた、豪邸に住むマダム・小島さと子。

 

彼女はじき帰国する、大事な一人息子「マー君」との同居を夢みて準備していました。

 

NYにいる息子夫妻の帰国を待ち望み、生まれてくる孫のためにベビーベッドまで用意します。

 

しかし、愛してやまない一人息子からは「お母さんといると息がつまる。事件は関係ない。お母さんがいるから帰りたくないんだよ」と言われ、去られてしまいます。

 

息子が帰ってこないことを高橋家のせいだと思いこみ「犯罪者はこのひばりが丘から出ていけ」と、高橋家を中傷するビラを貼っていたさと子。

 

彼女は、ようやく「人生は思い通りにならない」ということを痛感します。

 

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  隣の家の芝ほど、青く美しい

 

蝶がつくほどの高級住宅地でありながら、そこに住む住人もまた様々な悩みを抱えているのですね。

 

一般庶民の遠藤家は「家のローンの支払い」に汲々とし、そして「娘の家庭内暴力」に苦しみ、一方で上流階級の高橋家と小島家では「お金では解決できない悩み」を抱え、それらを軸にして物語が進行してゆきます。

 

どの家にもなにがしかの問題があり、外側からはそれがただ、わからないようになっているだけですね。まさに「隣の芝は青くフッサフサ」に見えるものです。

 

特に、さと子しか住んでいない豪邸は、彼女の寂しい心のうちを十分にあらわしていたと思います。

 

夫は愛人のもとへ去り、愛する息子も去り、自分の取り巻きたちも、さと子の強引さについゆけず、みんな去ってゆきました。

 

そんな彼女に唯一手を差し伸べたのは、かつてさと子にいじめられた遠藤真由美だけでした。

 

悪役ともいえるマダム・小島さと子を演じたのが夏木マリさんで、見事でしたよ。

 

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  犯人は誰なのか

 

「高橋氏を殺害したのは、妻か次男か。だとしたら一体なぜ?」という疑問が膨れ上がります。

 

事件の真相とは。

 

高橋家の主人・弘幸を殺害したのは、実は妻の淳子でした。

 

彼女は後妻で、「医者でもあった今は亡き先妻」の存在に、いつも脅かされていました。

 

特に先妻との間の子である長男・良幸は、京大医学部に現役合格できるほど頭が良く、次期病院長はこの良幸が継ぐことになっていました。

 

しかし淳子の息子、次男である慎司は兄と姉に比べて、まったくといっていいほど勉強ができなかったのです。

 

淳子がわけへだてなく兄弟を愛したおかげて、長男(先妻の子)・長女(淳子の子)・次男(淳子の子)ともに、3人とも素直で明るく、優しくて近所でも評判の子に育ちました。

 

しかし次男の真司だけが、あまり夫に似ておらず「バスケはうまいが勉強が苦手」という面を持っていました。

 

 

  母親の劣等感

 

事件が起きたのは中高一貫校への内部進学試験の前日でした。

 

発端は、夫である弘幸が「慎司には勉強ばかりやらせるな。慎司はそんなに勉強を頑張らせなくていい」と言ったことに淳子が動揺したことです。

 

その一言は「それは、良幸に比べて、慎司がダメだっていうこと?アタシの子だからダメなの?どうやったって、先妻であるあの人に、アタシは勝てないってこと?」と、彼女の怒りに火をつけるに十分でした。

 

良幸も慎司も「同じ男の子」なのに長男だけが夫に期待され、次男は夫にあきらめられている。

 

それが淳子には、悔しくてたまらなかったからでしょう。

 

カッとなって夫の背後からトロフィーで殴りつけたことが、致命傷となりました(よりによって、それは長男の良幸が高校でもらったトロフィーでした。無意識って、怖いですね)。

 

 

  「家族を守る」ということの意味

 

殴られて転倒した夫は後頭部から大出血しながらも「・・・目が見えない。淳子、そばにいてくれ」と妻の手を握ろうとします。

 

夫は別に息子を見限っていたのではなく「慎司には、勉強ではない別の道が向いている」と思っていたし、決して妻の淳子を軽んじていたワケでもないことが、ここでよくわかります。

 

そこで淳子は「大変なことをしてしまった」として半狂乱になって泣き叫ぶのです。

 

母の身代わりになって自首しようとしていた次男の慎司。彼は事件当日、母のしでかしたことに気づいて、恐くなって逃げてしまっただけでした。それをマスコミの報道によって「犯人だから逃亡した」と、世間が信じてしまったのでした。

 

そんな世間の中傷から、この先家族を守るために「大切なのは『どう、証言するか』だ」と決意をし、マスコミに連絡し単独記者会見を行った長男・良幸。

 

彼はカメラの前で「暴君の父が家族に暴力を振るっていました。慎司は、そんな父の暴力から母と自分を守るために抵抗したんです。その結果・・・」と、亡き父をあえて悪者にして自分たちの人生を必死で守ろうとしました。

 

彼のついた嘘は亡き父を傷つけるものではありましたが、この先、世間から抹殺されないためには仕方のないことでした。

 

彼は弟妹を養うために京都大学を中退することまで考えていました。

 

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  誰しもみな「善人」

 

結局のところ「人というのは、こんなにも愚かでどうしようもなく、醜いものであり、誰かを傷つけずにはいられない」ものだと思います。

 

どの登場人物も本当はみんな、「善人」なんだけれど、自分の欺瞞に気づいていないだけです。

 

そして「善人」とは「自分の怒りに気づいていない人」のことです。

 

そこを見ないで「正しくあろう」とするから、つらいんですよね。

 

ずるくたって卑怯だってバカだって、生きていくためには仕方のないことだってあります。

 

そもそもが、「完璧でなくていい」ということを知っていれば、ここまでの悲劇は起きなかったろうとも思います。

 

人は高みを目指せば目指すほど、低いところへと向かってしまうものです。

 

「素晴らしく完璧なものなんてない。そんなものを目指さずとも、今あるものに感謝して、変化がないと思える日常こそ大切に」そんなメッセージがこの「夜行観覧車」に込められている気がしました。

 

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