加速衝動(1)
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人の肉の味は、羊の肉の味に似ている。
正気に戻って、最初の感想がコレだった。
お世辞にも都会とは言えない佐野。いや、はっきり言おう。ど田舎だ。
夜の九時を過ぎると人影は全く見当たらなく、国道沿いに点々と設置された外灯のおかげで多少の灯りはあるが、建物による灯りが無いため、黒い紙に外灯を貼り付けたような、どこか非現実を思わせる。
田舎には当然の光景だ。
そんな異様な道なのだから、当然、人は滅多に歩かない。歩きたがらない。このようなほぼ真っ暗闇の道を歩いて、もし何か良くない事が起きても誰も助けてはくれないから。
そう、この元女性のように。
運悪くも、この暗い人通りの皆無な道路で俺に遭遇してしまった肉。
今は二の腕、ふくらはぎ、乳房などおいしい部分が食いちぎられた残飯。
顔は食べられる部分が少なそうなので手付かずのままだ。ただし、右目の泣きボクロがチャーミングだったので、そこだけは食いちぎった。
――あぁ、おいしかったなぁ。
だいぶ叫ばれたが、辺りは無人、誰も助けにこない。
だいぶ叫ばれたが、喉を食い破ってあげて、静かになった。
女性を犯す。人を殺す。この二つの背徳感のスパイスがかけられた食事は、俺に腹が膨れる以上の満足を与えた。最中なんかは背中がぞくぞくしっぱなしで、思考は焼き尽くされ、ただただ興奮していた。
「これは病み付きになるな……」
口周りにべっとりと付いたソースを、舌で舐めとり、次の食事を探しに移動する。
お腹はもう張っている。正直もう満腹だ。だが、そんなのは関係ない。
俺は食べたいんだ。
息は荒く、目は血走っているのが分かる。
次の食事はどこだ。