頬を切りつけるような冷気を切り裂き

岩のように凍った斜面を滑り降りる


周りでは最新ヒット曲が爆音で鳴り響いているはずなのに

聞こえるのはエッジがアイスバーンを噛む音だけ

 

 

僕は僕の五感と筋肉とボードのエッジを極限で操りながら

同時にそのスピードと質量に怯える僕の内面と対話する

 

 

そう

聞こえるのはエッジがアイスバーンを噛む音だけ

 

 

それでも一瞬の隙をつき

恐怖が僕の中で暴走し

僕はボードのコントロールを失い

斜面からはじき飛ばされ

マネキンのように何十メートルも斜面を転がり落ちる

 


ようやく身体が止まり

ふがいない自分に苛立ちながら

やっとの思いで顔を上に向けると

目の前にはただ静かに広がる満天の星空

 

 

      全知全能でありたいと願うこと

      足ることを知ること

      その狭間でいつも僕達は揺れ動いている