「ろ過」vs.「沪過」、「ロート」vs.「漏斗」 | 有機化学勉強会

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filtrationを意味する日本語として「ろ過」と書いてある本もあれば、「沪過」を使っているものもある。どちらが正しいのか。

結論から言えば、どちらでもいいのだと思う。ただし以下のような経緯がある。

だいたい「ろ過」なんて、ひらがなと漢字が混ざっており、違和感が半端ない。なぜこんなことになったのか。もともとは「沪過」なので、そのまま「沪過」を使いたいのだが、残念なことに「沪」が常用漢字でないという問題点がある。そのため高校の化学の教科書などでは律儀に「沪」の代わりにひらがなの「ろ」を使って「ろ過」となっている。同様に「ろ紙」「ろ液」となる。

しかし学問の世界は必ずしも常用漢字に縛られない。少し古い資料になるが、平成7年発行の『学術用語集 化学編』(増訂2版10刷、南江堂)を見てみると、常用漢字以外でも学術用語の中に使いたい漢字として6字が挙げられており、その中に「沪」がある。従って同用語集では「沪過」「沪紙」「沪液」である。

ちなみに上記の6字の中には、冶金の「冶」や、勾配の「勾」など、その後常用漢字に格上げ(?)された漢字も入っている。今後、「沪」も常用漢字入りすることを強く願う。

 

次にfunnelを意味する日本語だが、上記の用語集では「漏斗」である(2字とも常用漢字)。「分液漏斗」であり、「ブフナー漏斗」である。

高校の教科書では「漏斗」を使っているものもあるが、ひらがな表記「ろうと」としているものもある。少なくともカタカナ「ロート」ではない。

ただし「桐山ロート」は「ロート」とすべきだと思う。桐山ロートは、桐山製作所の商品であり(登録商標)、商品名「桐山ロート」をそのまま使うのがよろしいのではないか。