構造式の見方・書き方 ―くさび形結合(その1)ー | 有機化学勉強会

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今、中心となる炭素原子にADの置換基が結合しているとする。中心炭素はこの場合、いわゆる正四面体炭素なので、 ADの4つが全て同一平面上に位置することはできない。

ABと中心炭素の3つを同一平面上(この平面をここでは平面Xと呼ぶことにする)に位置するように置く。置換基CDは平面X上には位置せず、平面Xの上側か下側に出る。上側に出てる(つまり平面Xの手前側に出てる)ことを表現する目的で使うのが、実線のくさび(楔)形結合である。置換基Cと中心炭素との間の結合がそれだ。一方、下側に出てる(つまり平面Xの向こう側に出てる)ことを表現する目的で使うのが、破線のくさび形結合である。置換基Dと中心炭素との間の結合がそれだ。

中心炭素から置換基C(あるいはD)に向かって結合がだんだん太くなっている形状が「楔(くさび)」に似ているので、くさび形結合と呼ぶ。

手前に出ている置換基をup、向こう側に出ている置換基をdown、と言うこともある(たとえば、上図の場合、「置換基Cはupである」など)。