省エネ性能の説明義務化まであと1年(省エネ計算は自社で行う) | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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建築物省エネ法改正まで、残り1年



日経ホームビルダーの別冊で

建築物省エネ法改正に向けて、各建築関係者が、

どのように対応しているかのインタビューが記事になっていた。







意匠設計部門としては、伊礼さんが答えていた。

伊礼さんは2014年から高気密高断熱にチャレンジし始めて

現在では、HEAT20のG1からG2の範囲で

性能にしようと考えていらっしゃるようだ。




冷暖房計画をどのようにするか、決めるには

断熱性能も決めなければならない。


ある程度経験を積んできたので、

事前に大まかな断熱の仕様と性能の関係は

推測できている。


ある程度の基本プランがまとまったところで

設計契約・工事契約を締結する。



そして実施設計がある程度進んだ段階に、

「外部に委託して」省エネ計算をしてもらうとの事です。

その結果を見て、微調整をして工事に入る流れだそうです。



工務店の団体の最大手であるJBNの

3メンバーの座談会も掲載されていた。




3つの工務店がそれぞれ共通して、

契約前段階は、お金をもらっていないために

事前に省エネ計算はせず、契約後に外部の会社に発注しているという。



これは伊礼さんと同様の対応で、

日本の実務の標準の流れのようです。




岡庭建設の池田さんとは面識があり、

情報調査室室長として会の幹部である。

国の政策立案の際にはよく委員会に出席しており、

様々な情報に精通していて、

極めてクレバーな経営者だと私は評価している。



岡庭建設さんの場合は年間30棟もする規模で、

優秀なスタッフが設計部にもいるはずなので、

内部で計算できるのではないのか?

という素朴な疑問があった。 



そこで電話で直接聞いてみた。



池田さん

 

「もちろん社内で当然計算プログラムもあり可能であるが、

長期優良住宅・低炭素認定など適合の申請をすることになるので、

それとセットで外部に依頼をかけるというフローになってます。」


とのこと。



つまり、各種制度認定の延長線上に、省エネ基準適合据えている。



岡庭建設はスーパー工務店だから当然できるけど、

従業員数が少ない会社は、過半数が

計算できないと回答している。







これは、工務店だけでなく、

設計事務所も同じ割合でできないという。



JBNとしたら、計算できない会員もいるなかで、

どのような課題があり、どう対応していくか?

という性質の座談会でもあったという。 







しかし、

さぁこれから工事に入る段階で、「断熱性能が〇〇でしたよ」

と言われてみても、手遅れではないですか?

融資も固まり、予算も変更も難しいことだろう。



結果として、

「説明の義務を果たした」だけの形式的な

説明になってしまわないだろうか?



発注者目線からすれば、

あなたの建てようとしている住宅は、

こんな断熱性ですよと、契約までに説明できるのが筋なのでは?



それについては、

「国の「建築物省エネ法」の文言で、

あくまで契約後に依頼をかけることを想定していることもあり、

標準的なフローが契約後になっている。」




参考資料: 該当する法律改定

小規模建築物のエネルギー消費性能に関わる評価及び説明
小規模建築物の新築等に関わる設計を行う建築士は、当該小規模建築物の建築物エネルギー消費性能基準への適合性について評価を行うとともに、当該設計の委託した建築主に対し、当該評価の結果
(基準に適合していない場合にあっては、エネルギー消費性能の確保のためとるべき措置を含む。)
について書面を交付して説明しなければならないものとすること。(第27条関係) 


池田さん 

 

「もう法律文ができているところもあり、

契約後の説明のフローでやることが本線になるが、

もちろん、オーガニックさんのように契約前に計算し、

説明ができれば、それに越したことは無いです。」

 

とのこと




*今回の件で、岡庭建設の池田専務さんから

様々な情報をいただきました。

御協力 誠にありがとうございました。




 

 

契約前に説明をすることのオススメ


省エネ計算は自社内部ですることは大いにメリットがあるので

建築関係者に広くおススメしたい。



まずは、外部へ計算依頼すると支払いが発生する。

競合などで失注した場合、それが回収できないので、

契約後にしているという課題がある。

それならば基本設計に入る前に、着手金をもらえば良いと思います。

(無料設計提案を行わない)



少しハードルを設けることで、本気度の低い

お客様がいなくなり、無駄な設計行為をしなくなる。

設計部門の生産性が上がることは、お客様へもよい還元ができる



そして業者をほぼ決め打ちしてもらい、本腰を入れて設計を進めて、

見積もりができる前の段階、つまり、契約前の積算を終えれば、

当然サッシリストも出てくるし、積算数量も出せるわけだから、

それをベースにして省エネ計算をすれば良い。



たとえば 新住協のQPEXを使えば、2時間程度で計算は可能だ。

積算の事務の女の子でもすぐにできてしまう。

こんな短時間の作業でできることを、知らない人が多いことも、

外注してしまう要因と思われる。



社内で計算することのメリットは、


① 設計者の省エネ設計の水準が向上していくこと。


② 意匠設計と空調計画の一体化が可能になること。


③ 契約時に省エネ性能の説明ができること


全て重要な項目で、メリットは大きい。

私どもは、法改正に先立ち、契約書にQPEXの計算書も添付する対応をしようとしている。



デメリットとすれば、契約以降の変更が出た場合、

計算した結果はどうなるのか? と言うことであるが、

契約時に説明すべきが本来の姿であるし、

そこからの変更が軽微なものであるならば、

誤差も再計算してする必要はないと考えます。



設計がガラガラぽんになりかねないレベルであれば、

見積もりを出すには早すぎる。 ということです。

「これ以降 大幅な間取りの変更は無いですね」 と確認してから

積算と省エネ計算へと進む。



こうした業務フローにすることをお勧めします。