「笹口の家」WEB内覧会・・・内部編 | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

「オーガニックスタジオ新潟」社長のブログ。かっこいいエコハウスを提供するために日夜奮闘中。役立つ「家づくりの知識」は、オーガニックスタジオ新潟のHPにて更新。このブログでは個人的な関心ごとと「工務店経営」についてがテーマ

「笹口の家」WEB内覧会・・・内部編

 

飯塚氏のブログ記事で紹介済みですが、

施主は新潟大学の建築学科を卒で、建築士の資格も持つプロです。

 

高名な「けんちくのせんせい」に、具体的なゾーニングまで依頼主が条件を出すのは、

「先生の発想を狭めかねない」と、タブーとされる視されがちだと思うが、

今回では、自分はこんな空間が欲しいとの要望を挙げてきた。

 

 

例えば、玄関土間を大きくとり、自身の趣味のための空間にしたい。

スキーや自転車をチューンアップしたり、DIYで木工を楽しんだりする空間だ。

ここだけでなく 全般的におもしろい構想を施主はお持ちだった。

飯塚さんはその発想にレバレッジをかけて、魅力的な空間に昇華させてしまった。

 

 

結論からすれば、

コラボにより「非常に得るものが多かった」というのが結論です。

その一つは、「素材と色」のコーディネートによる効果とおもしろさ。

 

 

創業当初は、我々も今ほどの棟数をしていなかったから、

面白がり屋さんであることと、進化を目指すことから、

「新たな取り組み」を3つ盛り込む ことをルールにして取り組んでいました。

自家製塗料を研究したり、障子の割り付けを変えてみたり。

 

しかし、お客様の評価や費用対効果などが定まってくると、

良いものだけが生き残り「定番化」していきました。

そうなると「同一仕様」が繰り返されることになり、ある意味、保守化した。

 

仕様の標準化は、「らしさ」と生産性の観点から望ましいことではあるが、

試行錯誤(トライ&エラー)で挑む心を捨て、「これでいいや」となってはならない。

 

 

住宅にさらなる魅力を与えるために、

空間や造形的な面での積極さだけでなく、

素材・仕上げへのあくなき追及、というお遊びを、

お客様を巻き込んですると面白いんじゃないの? 

そっちのほうが オガスタにあっているんじゃないか?

というアドバイスを飯塚さんがくださった。  ありがとうございます。

 

 

今回は飯塚さんが捜し歩いた「レンガ色」という「アースカラー」が

内部空間の雰囲気を支配している。

アースカラーは自然界にある色で、一見奇抜に見えるけど、

その場に長くいると、不思議に落ち着きを感じさせる。

 

今回のレンガ色は、オガスタのレパートリーにストックされることだろうし、

今後も  例えば「越後平野の土の色」のように、 新たな展開があるべきだと思いました。

 

第2に、「ディテールの追求」で、空間はここまで引き締まるということ。

 

「ディテールにこだわります」と、設計自慢の設計事務所はよく口にするし、

普段の我々も 並みの設計事務所にゃぁ負けないわけですが、

「笹口の家」はその水準が桁違いであった。

 

まずは落ち着きを出すために ソファの置かれるところは天井が設けられる。

その天井の下端が、窓の上端になっており、その窓の下端が収納家具の上端になっていて、

それが袖壁の笠木へと変化する。

 

笠木の上端から2階の腰壁が発生し、 連窓の上の窓の下端が 腰壁の上端である。

複雑に交錯する要素がすべて「完璧なドミノ倒し」のようにつながっている。

構成している線が集約され、すべてに秩序があるので 複雑なのにうるさくない。

高度に整理された状態を  「シンプル」 と呼ぶ。

 

 

 

今回の設計施工における、 極め付けが手すりであった。

スキップフロアで立体的にも複雑な空間を一筆書きのように上下を4m貫いている。

もちろんできあがったものを建物内部へは搬入できない。

パーツ分けして現場で組み立てて据え付けないとならない。

 

飯塚さんは「現場溶接でいいよ」としてくれたが、

担当監督の秀君と、新潟の匠の鍛冶屋は、イージーな解決にプライドが許さなかった。

一度溶接してしまうと、冷蔵庫の買い替えなどの際に苦労することになるかもしれない。

見えないところにネジで止めて、あとで分解できるように作ってしまった。

 

完成度の高い住宅は、設計者だけの手柄ではない。

的確に図面を読み込み、意図を読み取り、施工へと結びつける,監督の知識と経験。

さらに、それを可能とする専門職人と、大工の技能が必要だ。

 

 

ご関係者の方々、お疲れさまでした。 よくやりました。

お客様 チャンスをくださりありがとうございます。

 

予告: 飯塚氏コラボ第2弾。

希望者が決まりました。 

住環境における 「熱」と「水蒸気」は、だいたい自在に扱えるようになってきた。

残された次のテーマは「音」です。

「グランドピアノを核とした空間を作り出す」というミッションは、

建築家といえども 一生のうちで1回あるか無いかの機会です。

 

いい音を奏で、目にも麗しい空間を希望します。