エコウィン・ハイブリッド で 輻射冷暖房
北海道に行った際に、画期的な冷暖房器具を見学してきた。
その蔵出し記事です。
概要:
エコウィン・ハイブリッド は、輻射式(放射式)冷暖房システムです。
直径6cmのアルミニウム製のパネルに、
温水冷水ではなく、通常のエアコンの冷媒をバイパスさせ 温度を変化する。
パネルを高温・低温の遠赤外線によって冷暖房します。
特徴:
① 冷媒ガスで直接冷暖房する。
通常のエアコンの冷媒をバイパスさせ、放熱パネルに直接つないでいる。
今まで存在した、PS暖房器具や光冷暖などの類似方式は、(冷房もする場合は)
三菱・コロナのHPボイラーで温水冷水をつくっていた。
水を使う方式は、循環する不凍液の管理が必要で、
よくエアーをかみ、隔年程度でメンテが必要だった。
加えて エアコンとは別の、室外に給湯用の設備工事費用がかかったので、
資金の余裕のある邸宅に利用が限定されていた。
エアコンは、冷暖房する際には、室内機のパイプに冷媒ガスを循環させ、アルミフィンに温度を移し替え、裏からファンで送風し、室内の空気温度を変化させていた。
空気で温度を変化させる。すなわち「対流式」である。
暖房器具で例えると、石油ファンヒーターである。
エコウィン・ハイブリッド (エコウィン・HB)は、
エアコンの室内機の中に入っていた、アルミフィンを巨大なパネルにしたようなもの。
パネルの表面の放射による「輻射方式」で、
薪ストーブのポカポカと同じ原理である。
エコウィンハイブリッドのメリットを整理してみよう
経済性:
エネルギーを直接放射熱にするため効率が良く、冷温水方式よりも
約30%エネルギー削減したと謳っている。
灯油・ガス燃焼方式よりも、とうぜんヒートポンプ方式により運転効率が良く、
(COPはベースとなるエアコンに依存する)
体感したさいに 部屋の室温は17℃程度であったが、
輻射パネルからの放射熱で体が直接温められて十分暖かった。
暖房設定温度を低く抑えられるならば、経済的である。
機敏な温度調整:
暖房から冷房に切り替えてみると、当初60度あったパネル温度が、1分程度でゼロ度まで下がった。温度変化に瞬発力があり驚いた。(水ではそうはならない)
デリケートな温度調整が可能なことを意味していている。
快楽的輻射暖房:
建築アナリストの森山さんも、別の機会に体感していて 二人の間で話題になった。
「PSヒーターより体感が良い」と言っていた。
そう思わせるのは、表面温度が比較的高いので、薪ストーブのような、
採暖的な快楽性があるからだろう。
エコハウスの識者、東大前准教授の話にもあるように、
「最適な暖房とは不感である。」
従来の考えでは、長時間その場所にいるのであれば、
「食事に白米が飽きないように」
暖房しているのを感じさせないほどの低温輻射暖房が健康的にはベストである。
しかし、何も感じないのはつまらないと 考えることもありだ。
「快適ではなく、快楽を手に入れたい」 という哲学である。
表面温度は60度近くまでになるので、 輻射特有のポカポカ感を感じる。
特に外部から入ってきたときには、温もりがわかりやすい。
また 寒がりのお年寄りにはうけるのは間違いない。
もちろん、パネル式の輻射暖房は、無風・無音である。
簡易性:
水を循環させないので超シンプルな設備である。
初期の冷媒ガスの充てんで失敗しない限り、後の故障が少ない。
故障やメンテナンスに何しては、通常のACと同じである。
しかし、パネル部分は可動部分・電子機器もないので長寿命。
AC買い替えにおいても再利用ができる。
設置工事も AC設置工事の可能な業者であればだれでもできる。
設備計画:
通常のルームエアコンに組み合わせて使う。
エアコンの室内機の設定温度で調整する。 パネル単体での調整はできない。
マルチエアコンを用いれば、複数のパネルできると思われるが、
動作確認をしていないために、現状ではNGではあるという。
室内機が温度センサーでもなるので、基本は同一フロアで室内機とパネルの両者の設置を想定している。
高断熱化された住宅では、リビングにパネル。 階段室や吹き抜け(2階)に設置して、1台の室外機で全館冷暖房が可能に思える。 40坪くらいの大きさの家でも 1セットで全館冷暖房は楽勝でしょう。
冷房:
表面温度がマイナス前後まで冷えるので、夏季は結露させドレンで外部へ放出する。
中央部分の設置の際は、ポンプでAC室内機まで運び放水することもできる。
風が無い冷輻射なので、冷房での体調不良になりにくいし、
結露させることにより、除湿ができる。
スペシャルサンクス:
札幌市の冷暖房設備会社。㈱FirD[フィルド]
渡辺将行社長から 細かく教えていただきました。 ありがとうございます。