A・レーモンドの五原則 ② SIMPLE(単純さ)
「単純さと軽快さは複雑なものよりも美しい。」
レーモンドの5原則のシンプルさについては、現代の感覚では分かりやすい。
徹底して実践している企業の代表はアップル社。
機能と必然を伴わない装飾的な要素は無駄でしかなく、
他の原則である「経済性」とセットになっている概念であろう。
(単にシンプルつながりですが、シンプリーレッドはファンです!)
レーモンドは、師匠であるライトに強い敬意はあったが、いずれは越えるべき存在ととらえ、独自の建築スタイルを模索していたのではないだろうか。
そうした中、日本建築の美の要素にシンプルさを見出し、自身の哲学としていったのだと考えます。
(ライトの帝国ホテル)
ライトの建築様式は装飾的で豪華である。
(シンプルの逆の魅力である)
それを支えたのはまだ安かった職人の人件費である。 レーモンドの時代ともなると同じようにはいかず、建築は職人の手間をかけず、迅速に、造らねばならなくなった。(華美なことはやっていられない)。
(レーモンドの聖アンセルモ教会)
日本という場・戦前戦後のあわただしさという時間に適応するという
したたかさも感じられてきます。
「シンプルさ」は 分かりやすいがゆえに、イージーに取り入れられる。
たとえば、開かないFIX窓だらけの住宅設計にすれば、見た目は一番スッキリする。
「シンプル」はいい口実になっている。
しかし、それにより「夏にオーバーヒートになり、暑くても窓が開かない。」ならば機能が満たされていないことになり、うわべだけのシンプルだということになる。
さて、レーモンド事務所の社是では、シンプルについて
「虚飾を排し、無駄、無意味な空間をつくらず、
これ以上削ぐものがない状態まで簡素に徹する心」 としている。
見た目的なシンプルさのみではなく、空間的な無駄を排すことも重要だと説く。
私らのプランニングにおいても、移動のためだけの廊下であれば極力省く。
練って練って、これ以上どうしようもない状態まで練り上げ、
自分でもこれ以上いじりようがなくなるまで考える。
プランを練る時の心構えとして、この社是の説明はピッタリだと思う。
オガスタ新潟としては次のフレーズへ超訳した。
「Simple:徹底的に練ればシンプルになる」
どうだろう?