ある無垢の素材をウリにしている住宅会社のHPより、このような文言がありましたので紹介します。
自然系の住宅よくあるオカルト的（非科学的）なミステークです。
「シックハウス法は2003年7月1日施工されました。この法律によって、国は強制的に換気扇の設置を義務づけました。なぜでしょうか。主に新建材から発生する有害な化学物質により体調を崩す人が続出したことが原因です。いわゆるシックハウス症候群です。
化学物質が大量に放散されるから「換気して防ぐ」。これでは本末転倒です。
もともと安全な建材を使用すれば換気など必要ないのです。天然無垢に包まれた住宅なら全く問題なく、健康・安全なのです！！」
以上の文言が書かれておりました。
文面の前半は事実です。
しかし後半は科学的には大変問題の多いことは、本シリーズを読み進めた読者ならお分かりいただけたことでしょう。
すでに、化学物質からカビ・ダニ由来のシックハウスの時代になっていることを分かっていないし、空気の清浄化に非常に重要な換気すら否定している。
建築的に無知で書いているのか、ユーザーを引き付けるための我田引水で書いてあるのか？ その両方であるのかの真偽はわかりません。
しかし、一般の方々は、住宅営業マンが言うことは建築のプロだと思っているから信じ込んでしまうこともあるでしょう。
（たとえ数か月前に他業種から転職してきたばかりで素人並みだとしても）
この会社の事例以外でも、自然素材系の住宅会社の中には
「気密をすると窒息する」「機械換気に依存しない」
という非科学的な考えを根強く持っているところの比率がかなり高い。
さすがにインターネットの時代になり、さんざんオカルトでやってきた「自然素材で健康住宅」というカテゴリーは、消費者から見捨てられているように観測できます。
それにかわり、「賢く自然エネルギーを使いましょう。」というパッシブ系の発想で自然エネルギーを上手に利用した断熱住宅に、自然素材の魅力を加えている、私どもの日本中の仲間は、いずれも大忙しです。
我々は、今まであまり「住まいの健康」についてあえて触れてきませんでした。
それは、住宅屋にありがちな「〇〇しないと健康被害が出ますよ。」というネガティブアプローチによるセールス手法が、私は大嫌いだったからです。
しかし、20年来住宅に取り組んでまいりましたが、あまりに世の中が理想とする家づくりからはほど遠い。むしろその逆じゃないかとすら思えてなりません。
だから ちゃんと啓蒙すべきだと頭の中を切り替えました。
もっともっと、住宅は住む人の健康に問題の無いものとなるべきだし、
エコで経済的であるべきだ。
そのために 日本の住宅が変わるべき 最大の分野は 断熱です。