住宅営業マンの事件簿 ⑦ 秘密の営業方法 | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

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住宅営業マンの事件簿 ⑦ 秘密の営業方法

読者にはかなり人気の「事件簿シリーズ」。
久しぶりに登場です。 

私が住宅営業マンにデビューしたころの話です。何年も前の昔話です。
上司は大手プレハブメーカーから転職してきたバリバリの営業マン。

私はデビューしたてだからお客様の名簿も何もない。
そんなひよっこの私に上司はさまざまな住宅営業の方法を教えてくれました。
そんな 一般かたの知らない 住宅営業マンの世界をお教えしましょう。

(ローラー作戦)
① 建て替えが起こりそうな地域の住宅地図をコピーする。
② 歩いて1件1件「お建て替えのご計画はいかがですか?」と飛び込み訪問。
③ 脈があればモデルハウスへの来場を促し、アポイントをとる。

これをやらされました。毎日200件くらい飛び込み訪問です。
今、思い直せば、単なる押し売りですよねぇ。
これで商談につながった記憶はありませんし、非常に効率の悪い方法に思います。

(タンポポ作戦)
① 建築中の現場周辺に50枚くらい手作りの手紙をポスティングする。
② 着工前・上棟前後・完成直前と何度もポスティングする。
③ 完成後に内覧会を行い来場を誘導する。

なんで「タンポポ作戦」なのかは、タンポポのように種が飛んでいき、また周辺に花を咲かせるというイメージでしょう。
この方法が現代においても実践なされているところも多く、建て替え地域で有効です。
工務店だけでなく、塗装屋さんのリフォーム工事はこれだけで注文を取る会社もあります。

ちょっと違いますが、
私もかつて、4人でチームを作って1日3000枚ポスティングとかやった時がありますよ。スポーツ感覚で地域が頭に入るというメリットはありますが、費用対効果はめちゃくちゃ悪かったでしょうね。

(地上げ)
① 分譲団地の空き地情報を確認する。
② 法務局に行って空き地の所有者の情報を得る。
③ その所有者に訪問し、建築計画を尋ねる。

この手法は、かつて法務局で謄本閲覧は台帳でどかんど渡されていたから、さささと複数の情報をまとめて閲覧ができたわけですが、電子化された現代では調査コストもそれなりにかかるようになりました。
それにまた、押し売りのようなものなのでかなり煙たがられます。
「なんでお前はそんなことを知っているんだ?!」と、こわいお父さんに怒鳴られたことがあります。
上司は教えてくれました。そんな時は
蛇の道は蛇というじゃないですか。」そう言え!
めちゃくちゃ胡散臭さがUPするだけですね。(笑)

極めつけはこの手法でしょうね。
(車番チェック)
① 総合住宅展示場に行き、駐車中のお客様のナンバーをチェックする。
② 陸運局に照会して車の利用者情報を入手する。
③ その人の家に訪問し、「うちでも検討してください。」とセールスする。

この方法は 個人情報の扱いが厳しくなった現代では通用するのでしょうか?
これもまた 「蛇の道はへびですから!」というわけです。
しかし、相手は建築を検討している確率が高く、総合住宅展場訪問後はハウスメーカーに売り込まれ慣れているので効果は高いようです。

今からすればアナクロな昭和の匂いのする手法の数々。
「そんなことまでしているんだ!」読者はドン引きなさったことと思います。

セールスマンですからね。売り込んで実績を上げてなんぼの職業です。
いまでも時代は変われど住宅営業マンさんは何かしらの活動はしているわけなんです。

おまけながら、会社によって住宅営業の世界では文化と歴史がありまして、
それも一般の方からすればおもしろいかもしれません。

有名なところでは、業界最大手のSハウスさん。
新人営業マンには車は与えず、自転車や公共交通機関で名簿回りで御用聞きをさせるのが伝統です。(たぶん今でも)

若い大学でたてのさわやか営業が、特に真夏で汗まみれになって、ぜぇぜぇと息を切らして訪問してくる。
いやぁ 近くまで来たものでお顔でも見れたらと思いまして・・・。」
気の毒になって少し話でも聞いてやろうという気にもなる。
みんなこうして鍛えられているんですよ。

「相模さん、あなたの住宅営業マン時代はどうだったんだ?」
と聞きたくなりますよね。

わたし、こういう足を使った営業はさっぱりだめでしたね。
私は現役営業マンの時代は、いわゆるそこそこ営業マンでした。
特別売れもしないし首にもならない程度の成績でした。

もちろん 今の私にはそんな売り込んでいる暇はありません。
注文住宅は 買い物じゃないから売り込むもんじゃないと思ってますし、
好きな住宅屋に好きな人が頼めばいいのです。