脱炭素社会への持続可能なエネルギー転換を考える学習会 | 専従日誌

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11月23日、さよなら原発徳島実行委員会主催の学習会がとくぎんトモニプラザで開催された。

学習会にはさよなら原発徳島実行委員会の会員ら70人の参加があった。

実行委員会の藤永知子代表は冒頭のあいさつで、「県内の新型コロナウイルス感染者はゼロが続いており、ほっとしている」「伊方原発が再稼働するが、朝日新聞では10月中旬に愛媛、大分を中心に行われた防災訓練に新型コロナ感染拡大の心配から住民の参加が見送られたことなど、原発の安全性を憂慮している」「実行委員会では伊方の問題を第一にやっていく」と訴えた。

学習会では、公益財団法人 WWFジャパン 自然保護室気候変動・エネルギーグループ所属の市川大悟さんより「「脱炭素社会への持続可能なエネルギー転換を考える」というテーマで講演を受けた。

市川さんは、なぜ再エネを進めることが必要なのかについて、ギリシャやカリフォルニアで山火事が相次ぎ発生しており過去30年で最大の熱波となっていることや、日本においても豪雨災害が多発していることなどを挙げた。また、IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が5年おきに公表している評価報告書では、産業革命以降気温が約1℃上昇など極端な温度変化が確認されており、大雨の観測割合が増加していることや、1980年代から2010年の間、夏季の北極の海氷面積が約40%減少していることなどを例に挙げた、そして、日本も気温上昇の割合は高いと解説。さらに、海面上昇や海洋酸性化、海域表層部での酸素濃度低下、強い熱帯低気圧(風速50m/S以上)の割合増加も指摘した。今後のCO2排出シナリオとして、今後の社会・経済条件とCO2の排出削減について5つのシナリオがあると説明した。SSP1-1.9では1.5℃だがSSP5-8.5では4℃となり最大4℃の上昇となると予想されている。極端な現象については今より高くなる傾向で、産業革命の時より9倍増えると言われている。海面上昇は今世紀末には60㎝から80㎝となり、災害被害は20年間で30兆円の損害となる。そして、生物は2,835種(12%)が絶滅の危機に晒されている。日本は21世紀末に平均4.5℃の気温上昇となり降雨量も増えると予想されている。2021年10月に第6次エネルギー基本計画が閣議決定されたが、原発が2割必要となっており、市川さんは「現実離れしているとしか思えない」とコメントした。WWFジャパンの脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオでは太陽光1/3、風力1/3、その他再エネ1/3だけでまかなうことが可能となっており、シナリオ達成に必要なコストは年間GDP比の1~2%以内だという。再エネの普及課題については適地、系統、コスト、需要、社会・環境面の問題の5つの課題があるとした。そして、この課題を乗り越えないとゼロシナリオは実現できないという。課題の解決策にはゾーニング(土地の色分け)が今後最も重要で、2021年6月に温対法が改正され、自治体の努力義務が問われることとなった。環境アセスメント(環境影響評価)については対象が1万kw以上から5万Kwに緩和される見通しとなっている。また、地元住民とのコンセンサスがなされないまま着工が進んでいるケースも増えているという。市川さんは「地域から声を上げていくことが重要だ」と訴えた。