2011国内農業視察 | 専従日誌

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徳島県農協労連専従のブログ 農業再建、農協革新の取り組みや活動紹介など

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5月27日から28日にかけ、三重県伊賀市の「モクモク手作りファーム」にて全国農団労2011国内農業視察が行われ、徳島から4名(東とくしま2、阿波みよし1、県本部1)が参加しました。全体の参加者は16名でした。

前日からの梅雨入りと台風接近に伴う小雨続きで生憎の天気でしたが、8時15分松茂発の高速バスで三ノ宮へ。三ノ宮からはJR快速で草津へ向かいました。京都を越えると山に囲まれた田園風景が続きます。さらに草津で乗り換え各駅停車で柘植(つげ)駅まで向かいます。周辺には製薬会社の研究施設がいくつかありましたが、風光明媚で「忍者の里」らしい雰囲気が漂っています。予定通り12時9分に到着しホームを出ると、他県の仲間も同じ列車に乗っていたらしくゾロゾロと出てきました。駅からはファームの送迎車でモクモクファームに向かいました。

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到着後、まずは昼食ということで「PaPaビアレストラン」でランチバイキングをいただきました。レストラン内にはブドウの木が植えられており、天井一面に張り巡らされたつるの下で食事を味わえます。地ビール(1杯のみ)も付いていましたが、私は我慢しリンゴジュースを注文。料理は70種類も用意され、米は特別栽培米、地元の新鮮野菜、自家製ハムも無添加でした。他にはジャージー牛乳や自家製豆腐、ヒジキなど安全安心のヘルシーメニューでしたがついつい食べ過ぎてしまいました。テーブルの上には「くるくるコイン」という木製のコインが置かれており、後片付けを自分で行った場合、コインをレジに渡すと1枚10円が食育・環境活動団体に寄付される仕組みになっており年間約250万円にもなるそうです。環境に配慮し割りばしなどは置いてありません。また、最初に「食べ残しをしないようにお願いします」との説明もありました。

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昼食後はパンとお菓子の工房、地ビール工房、ウインナー専門館、ミニぶた芸を見学しました。

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その後、吉田修専務からモクモクの歴史や取り組み、経営哲学等について話を伺いました。吉田専務は獣医として12年勤務した三重県経済連を退職し脱サラ(木村社長も同様)、その理由は農協組織が生産者協同組合なのに消費者協同組合になってしまったことへの疑問だったと言います。1987年に伊賀の養豚農家を中心に現ファームの前身「ハム工房モクモク」を設立しました。モクモクの由来は木のモクとハムやソーセージの燻煙のモク、忍者の術のモクのかけ合わせだそうです。現在では年間総売り上げ47億円、年間来場者数50万人を誇るモクモクファームですが、ここまで辿りつくには紆余曲折があったと言います。ここからは経営哲学の話が中心です。「JAでは自分たちで末端価格を決定できないので価格決定権を持つことにした」「レストランを出店するため農業法人モクモクを設立、銀行は相手にしてくれないので農家と従業員に9800万円を出資させ立ち上げた」「シンクタンクも持っており現在21くらいのコンサルを行っている。韓国や中国の企業からも依頼があり非常に忙しい」「売り上げは50億円でファーム、通販、レストランでそれぞれ3分の1の構成になっている。大事なのは利益率を上げることと付加価値の競争だ」「職員旅行でベトナムに行った時、向こうの米は10㎏700円だった。モクモクの米(10㎏5500円)を売るには付加価値を高めるしかないと思った」「安く売るのは誰でもできる。しかし農協は残っても農業は残らない」「納得してくれるまで説明説得する」現在、モクモクネイチャークラブの会員数は4万世帯ですが、2年間利用がなければ会員資格は無くなるそうです。米の栽培はファームで20町、地域の農家への依頼が80~100町で収量は7,500俵。これを「特別栽培米ごーひちご」として10㎏4,500円で販売しています。ちなみに「ごーひちご」はアミロースが17%と伊賀が松尾芭蕉生誕の地であることをかけ合わせてネーミングしたものです。他にもイチゴ4万株、ブドウ、柿などの果樹を栽培、乳牛は40頭を飼育しています。吉田専務は「流通、加工業者に利益配分が行くのを知っているので乳牛を自分たちでやった。そうすると職員7名が雇用出来るだけの利益が出た」と業界の仕組みを逆手にとった手法で利益を上げることに成功しました。加工品はハム、ジェラート、パン、菓子、豆腐など350種類あります。「自らが作って自らが売る。パンだと1000個、会員、店で販売する以上には作らない」「頭を下げずにどう売るか?」「多品種、少量で価値を下げないようにしている」など鉄則がありスーパー、百貨店依頼は10%程度、90%は直販だそうです。ファームでは客単価から逆算し1時間1000円で3時間滞在できるシステムを構築しているとのことです。50万人×1000円×3時間=15億円ですが、諸々合わせて18億円の売上計画を立てています。また、自動販売機は一切設置していません。我々には少し不便だったのですが「客に振り回されると、きりがない。こちらのやり方に合わせてもらう」との事です。モクモクの従業員は来場者に「いらっしゃいませ」とは言わせずに挨拶は「こんにちは」に徹底しています。その理由について「接客はサービスとモノの交換であり、仲間的なやり方の方が良い」と専務は言います。さらに、ファーム内にブタが放し飼いされていますが、ブタが金の臭いを消してくれるそうで、農業、教育、文化、宗教も良いそうです。モクモクは手作りウインナーなどの体験教室が人気ですが「作らせるがそこで食べさせてはダメ。買ってもらうのがコツ」だそうです。吉田専務は全国直売所甲子園にも関わっており、2009年には東京で第1回目が開催され14000の直売所が集まったそうです。最近の直売所について専務は「モノを売ることを真剣に考えて欲しい。最近は直売所がAコープ化してきた」と危惧しています。モクモクでは食育にも力を入れており、きっかけは海外からの来客は必ず自分の国の農産物やワインを自慢することと、フランスには1400ヶ所の食の教育施設があるのを知ったからだと言います。現在、夏休みは旅行会社に頼らなくても体験学習の子供たちで一杯になるそうです。ファームに来る子供たちの中には、ジャージー牛を見てコーヒー牛乳を出す牛と言う子供もいるそうで、「本来、誰が教えるべきなのか?農協がすべきだ」と言われました。他にも「地産地消のバイキングレストランは98%が女性客」男性のランチ平均単価は590円だが、女性は1,850円でも利用することから「女性目線でやらなければいけないと思った。JAは男ばっかりでやっているからダメ」の言葉に胸のつかえが取り除かれるような感じがしました。名古屋JRセントラルタワーズ13階の「元気になる農場レストラン モクモク」は毎日2時間待ちだそうです。専務は「都会は余計な演出が要らないが、センスと女性目線が必要」と言います。

気になる従業員の待遇ですが、現在正職員300名、パートを含めると約800名の従業員が働いています。2010年の募集には500名もの応募があったそうです。全員の年俸が分かる様になっておりマネージャー以上に昇格するためには自分で手を上げなければなれません。個人面談は年5回実施しておりマネージャーになると年収は最低でも550万円で海外への研修視察もあります。また、職場結婚も多く土日は宿泊施設の一部を託児所にするなど子育てサポート体制も充実しています。

吉田専務に、新しい企画はどうしているのかと尋ねると、「役員がやる。だから高い報酬をもらっている」「常に未完成という意識を持っているのでまだまだいけるという感じがある。カメラを持ち歩くなどいつもアンテナを張り巡らせている」「大変な時にどれだけの人が応援してくれるか?そういう消費者、農家を持つことが重要だ」「自分の道を信じて歩くことに世間は拍手を送ってくれる」「人・心・環境に優しいがキーワード」と答えてくれました。また、様々な事業に取り組んでいるがバラバラのようで全て繋がっているのだと言います。

モクモクを支える会員の利用率の高さに圧倒されますが、専務は「永平寺(本山)と同じ。会員は本山にやってくる」「会費を取るのは意識付けのため」「会員を徹底的に食育・教育で囲い込む」と言い「佐賀に会員が仲間入りし日本全国に会員ができた」と誇らしげに語っていました。

同じメンバーズシップである農協ですが、全てが異なります。また、モクモクの役員が農協を反面教師にしていることも事実です。並みならぬ苦労をした経緯もあってビジネスセンスが研ぎ澄まされています。経営ビジョンの確立、会員教育の充実、無駄のない運営等が徹底されています。一方、農協はぬるま湯から抜け出せずに共済一辺倒の運営を続けています。これでは職員のモチベーションが上がるはずがありません。

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貴重な講演の後、夕食まで部屋で寛ぐことになりました。モンゴルのゲルのような作りのコテージに入ると中は洋風でロフト付の部屋でした。テレビモニターには各部屋の消費電力がランキングで分かるように表示されており、最下位にはなりたくないと思いました。ベッドわきのスタンド以外照明はありませんが天窓が付いており明るさは充分です。

夕食は「農村料理の店もくもく」でとんかつ、ソバ付きの御膳でした。昼食が遅かったこともありますが、料理だけでお腹一杯になりお酒は殆ど飲めませんでした。食後は「野天もくもくの湯」で温泉に入り疲れを癒しました。

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翌日は早朝から牛の餌やり体験を予約していましたが、雨天のため中止になりました。バイキングモーニングのあと、全員で手作りケーゼ教室に参加しました。ケーゼとは豚肉を練り上げて型に入れて蒸したもので、ミートローフのような感じです。しかし、豚肉と氷を混ぜ合わせるのが凍傷になるかと思うくらいきつく大変な作業でした。ある程度混ぜるとチーズ、ピスタチオ、玉ねぎ、シイタケなどを入れ再度混ぜ合わせます。完成したケーゼは持ち帰り晩御飯にすることにしました。

天候にも恵まれず短い一日でしたが、吉田専務から伺った話は非常に中身の濃いものでした。ビジネスの極意を伝授されたような気分です。今まで馬路村や上勝町、さいさいきて屋(今治市)など視察に訪れましたが成功しているところには何らかの共通点が…やはり明確なビジョンとリーダーシップ、またそれに惹かれ優秀な人材が次々に集まるところです。

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最後に、気になる我々の部屋の消費電力は11位中8位でした。う~ん微妙。