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気温18℃、曇りのち晴れ。

松井冬子さんという現代日本画家の存在を初めて知った。
過去断絶した技法を研究復活させたり、一方ではトレーシングで縮小したり、
いろんな技法を自分の作品に取り入れ活かす様は、まさしく温故知新。

1974年、大寒に生まれたから冬子と名付けられた彼女は、
女の情念や自分の思いを昔の幽霊画のようになぞらえて描いていた。
まるで彼女のように妖しくて怖いような美しい魅力に溢れている。
対談のなかでも彼女の人生観や痛み、女性性について話していた。

おどろおどろしいモノや残酷物語になぜか惹かれてしまう私たち。
昔は処刑を見るのが庶民の娯楽となっていた時代があったそうで、
今でも拷問・虐殺、人体解剖などの展示会は意外に盛況である。
お化け屋敷などもそのひとつといえるだろう。

人間は穏やかな平和さを唱えつつ、どこか歪んだものに魅力を感じる。
裏社会、怨念、暴力、変死、殺人などをモチーフにした作品は後を絶たない。

ふとした影や秘密に好奇心を刺激されるのは人間でも事件でも同じこと。
裏に隠された何かを探りたくなるからか、より魅惑的に私たちの目に映る。
屈託のない明るい光景には何かしら影が潜んでいるようだし、
憂いのある影からは希望の光が感じられるのかもしれない。

人の数だけ違う世界観があり、だれとも共有できない世界が存在する。
共有できるという思い込みは、大いなる錯覚と勘違いなのかもしれない。