地縛霊とは、自分が死んだ土地に縛られている霊を指す。
からかうと爆発するような爆弾岩風味な悪霊ではない。
似島に霊気が流れるのは、74年経っても未だに自分がどこで、いつ死んだのかもわからない方々が広島市内の各地から、艦これ好きの提督ならおなじみの輸送艇の大発に乗せられて搬送され、ここで大量に亡くなられたからだろう。
その数は軽く1万人を超えると言われている。
「熱い、痛い、苦しい、何も見えない、臭い」そんな様々な苦しみで縛られている方々は、その瞬間から74年が経過した令和元年の現代から見れば皆様亡くなっているので、霊気を流して体の痛みを生者のように癒すのではなく、痛みと苦しみを取り除けば良いだけなので簡単と言えば簡単である。
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他県から鉄道移送の救援部隊で従軍した江戸屋猫八(三代目)が見た、チョコレート色に焼けただれた被爆者の方々は、ろくな治療どころか、この似島に運ばれるその途中で息絶え、海岸でバンバン焼かれ、大きな穴を掘り、その中に誰彼とも判らぬままに埋められていく…。
再掲するが、詳しくはこちらのサイトの記事でも読んで欲しい(ハードなので閲覧注意)。
まあ、ここでのキャンプ体験は勘弁だが…。
焼くほうも、埋めるほうも、治療できないほうも、すべては地獄…。
そんな過去の地獄に延々と霊気を送るのではなく、その時点で息絶えた人に向けて効率よく霊気を送る。
霊気を送られた方は、体の痛みがもはやないことを悟るのだが、今度は自分の家族を探そうとする。
もしくは縁者を探すのだが、あまりにも大量の方々がいるので、探しようもない。
とにかく息絶えた順に霊気を流すことに決め、痛みと苦しみが消えたことを告げながら、可能な限り生前の姿に戻す。
ある人には無くなった手を戻し、足のみの方には体全体をイメージして治してさらにはお気に入りの服もあてがう。
ひどいケロイドでも、これを肉体ごと治すのではなく、魂なら単なるイメージなので見た目も痛みもすぐに直せるから。
そんなことを続けていると、こちらの姿が見えるのか、小学校低学年の少年が同じように手をかざしてほかの人を助けようとしていた。
「君も、あの人たちを助けたいの?」と尋ねると、大きくうなずく少年。
その場で基礎的な霊気を伝授し、サポートしてもらうことに。
霊気の伝授自体は初伝ならば充分遠隔でも行えるし、妙見菩薩系の天之御中主神さまと國常立尊様との縁の繋がり方さえ間違わなければ体を通る霊気は誰でもすぐに感じることが出来る。
あとはこの霊気を、自分の魂をレンズのようにして絞り込み、相手に注ぐだけなのだから、我欲にまみれさえしなければ誰でも簡単に他者を癒すことが出来るようになる。
若干手が足りなかったが、このように申し出てくれる方々が幾人かおり、そういう方々には必ず神仏は手を貸してくださる。
今夜の霊気は終わったが、あの少年はいまだに霊気を送っているはず。
目の前で苦しんでいる人々が居なくなるその時まで…。
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