ちなみにこのあと、法律職としては受験生でしかない俺と、現職の弁護士である法律家に該当する電卓ジジイの罵りあいは以下のような感じ。
天「俺が喋ってんのになんで邪魔すんだ!ふざけんな!!」
電「私が喋っているんだ。発言は控えるだろうが!!」
天「俺が喋っているのを遮ったのはそっちだろ!!邪魔すんな!!」
電、目を剥きながら「私が喋っているんだぞ!!」
天「邪魔したのはそっちだろ。だったら黙っていやがれ!」
電「私が喋っていると言っているだろ!!」
天「あんたの発言より、証人の発言のほうがずっと重要だろ!!そうですよね裁判長?」
裁判長「まあまあ、静粛に・・・」
怒りのために肩で息をする俺。
血圧が上がりまくりの上に短気なので、くも膜下出血でも起こしそうな電卓ジジイ。
法廷は騒然としているが、恥を掻いているのは電卓ジジイのみである。
そして最後に電卓ジジイから質問が発せられた。
それは初期の陳述書ではそれほどの暴力には感じなかった八ヶ岳の百式への暴力が、訴訟開始後の陳述書には違法性を前に出して表現している点である。
この些細な矛盾に対して、電卓ジジイがお得意の、”すべての主張が意味が無い”と言うことに帰結させてきたので再び激しい論争になる。
電卓と俺が、ガンを飛ばしあいつつの、罵りあいの大音声である。
ちなみに多少矛盾が有ったのは事実だが、これにもきちんと法廷で証言はしておいた。
その理由は、百式が古式柔術の有段者だと、初期の陳述書作成当時は俺が知らなかったためである。
そして古式柔術の経験者である百式は、蹴り技中心のテコンドー経験者の俺が、けっこう本気で体重を乗せた重い蹴りを入れても、しっかりとガードは出来る。
来ると分かっているからガードが出来るレベルではなく、高校国体レベルでは名を馳せた天才柔道少年の巨漢サガット繁雄(身長170cm、体重112kg)に、同様の上段回し蹴りをガードさせてもそのガードは崩れ
「天雅先生、やめてください。自分、マジで痛いんですよ」
ぐらいのコメントは出てくるレベルのケリではある。
この俺のケリが問題なくガード出来て、八ヶ岳のケリには顔をしかめるほど痛がるんだから、どの程度の破壊力かおおよその察しは付くはずである。
前述のようにガンガンこれで論戦になったが、これに対して
「(俺としては、最終的には)どう思うんだ?」
と電卓ジジイに聞かれたので、俺は
「では、法律職を志しているものとして言わせてもらう。被害者が、被害を訴えれば違法だろ!!」
と、キレながらも法理法論に基づいての、まっとうな反論を行った。
口喧嘩じゃないんだから、法廷では法が何よりも優先される。
法に基づいて反論されれば、その反論が的外れでない限りは、弁護士は引き下がるしかない。
プロの法律職が、法律職を志している者に法理法論で敗れた瞬間である。
その後、電卓ジジイは意気消沈し、反論は無かった。
俺は気が付かなかったが、百式が原告席で見るに、飛脚側の関係者は、原告側の証人に被告側弁護人が論破されたのにも関わらず、みな苦笑していたそうである・・・。