8月1日~3日にかけて、南アルプスの三峰川源流にでかけた。土建屋の佐藤社長一統を案内してのことである。茹だるような暑さのさなかだった。

 渓流釣りをかじったことのあるひとなら、鈴木竿山を知っているだろうが、佐藤社長は、その一番弟子ともいうべき存在なのである。私は竿山とは同郷で、親しく付き合っていたから、竿山亡き後も佐藤氏とは親しく付き合ってもらっている。もちろん、私は釣りに関しては素人同然ではあるのだが・・・・。

 毎年一度、どこかの渓に案内して、すでに三年が経っている。さて、ことしはどこに、という段になって、たまには南あアルプスに、ということになった。そこで問題になったのが、一統のメンバーであるS氏である。ええい、めんどうだから実名を明かすが、巣山くんという。釣りは好きだが登りは嫌いという、およそ山釣りには適合しない性格で、ために今回もネックになった。

 岳川越えという登山のクラシックルートを越え、三峰川源流に遊び、仙丈岳に立つという計画を完遂できるかは、ひちすら須山くんの頑張りにおうしかなかった。

 きびしくも涸れつつも苛烈なルンゼ登りに悲鳴を上げ、当然のごとく脱力、酩酊、彷徨、錯乱のあげく、ようやく乗越に立ちはしたものの、私のガイド計画の根幹にある、美しい遡行ラインの継続はすでに跡形もなく、ほうほうの体で本流に降り立ち、初日はここまで。大量の焚き火に酔う一夜を過ごす。


 翌日、きのうのことなど知らぬ気に、欣喜雀躍。日帰りで釣りに興じる。いやあ、釣れた釣れた。朱点も鮮やかなヤマトイワナが、イワナ寿司を30貫も作れるほど釣れたのだから満足至極。

 食べ終わったころ、上流からひとりの沢屋が登場。なんと、かのサバイバル登山家の服部文祥だ。これには素直に驚く。もっと早く来ていれば、寿司が食わしてあげられたのに・・・・・。いやあ、有名人だ、といいながらサインをもらいました、って嘘だけど・・・・。 

 その後も、長期単独行で知られている深谷明くんと交錯し、山は狭いと実感した次第。こちらは、三峰川を詰めて仙丈岳に立ち、隙あらば周遊ラインを歩こうとしていたのに、足を引っ張る巣山のおかげで意気消沈。「あんな重荷を背負って二週間も渓を歩くんですね」って、お前が言うなよな。