少子化に歯止めが利かない。2023年の出生数は70万人台だった。

様々な識者が様々な見解を提示しているが、少子化とは色々な原因が複雑に絡み合って発生する現象なので、一つの要因を指示して「これが原因だ!」という事はできない。

 

よく挙げられるのは……

 

①若者に経済力がないから

②将来への不安が大きいから(①を含む)

③昔のように「子供を産むのが当然」という価値観がなくなったから

④子供を産むメリットが薄れたから(発展途上国だと子供が労働力になる)

⑤親になる事への負担が増えたから

⑥女性の社会進出およびそれに伴う晩婚化

⑦一人で生きていく事が容易になったから(娯楽の充実・ネットの発達)

⑧氷河期世代への援助を適切に行わなかったから(第三次ベビーブームを逃した)

⑨上昇婚の影響(女性の賃金が上がると貧しい男が結婚できなくなる)

➉ルッキズムの影響(理想が高くなりすぎている)

⑪社会が子供や子持ち世帯に不寛容だから

 

どれが一番大きいのかはよくわからない。全部正しいと言えば正しい。

もし①のお金「だけ」が原因なら、沖縄の出生率が高い理由を説明できない。

②や⑤や⑪の問題が解消したとして、それが出生率UPに繋がるかは怪しい。リベラルが理想の国として挙げるフィンランドは少子化まっしぐらなのだから。

「子育てのしやすさ」と「出生率」はあまり関係ないという人もいる。たしかに、それならアフリカは子育てしやすいのか?って話になってしまうし。子供や子育て世代の環境を整える政策と、子供を増やす政策は別に考えた方が良い。

 

ネットでは⑧説も有力だが、氷河期以前から少子化は問題視されており、いずれにせよ少子化は避けられなかったという説もある。ネット上の言論は何でも安直に氷河期世代問題に結び付けすぎな傾向があると思う。

 

①~⑪は全てがもっともらしいが、かと言って圧倒的に正しいとも言えなそうである。いずれにせよ先進国は子供が減るという傾向に変化はなさそうである。社会が成熟すると、子供を欲しなくなるようにできているのだろうか?少子化対策より、人口減を受け入れたうえでいかに国家を運営していくかを考えた方が良さそうである。

 

ちなみに反出生主義は少子化にさほど影響を与えていない(どちらかと言えばチャイルドフリーの方が大きい)。ネットの外に出ればほとんど知られていない言葉である。少子化のニュースの度に「勝利宣言」する人がいるが、さも自分の功績であるかのように誇るのはおかしい。「子供を産むのは道徳的に悪い事だから」という理由で出生を控える人(かつての私みたいな人)は現実的には少数派であろうから。