仕事の大半は大元から色々な企業へ枝分かれし、各々の得意な分野でのアウトプットを経て完成する。下請け企業も重要な歯車の一つである。


犯罪者の世界も外注が増えてきている。

闇バイトと呼ばれる危ない世界に足を踏み入れ、金に困っている以外の動機が無い実行犯は捕まり、計画した人物はトカゲの尻尾切りだ。



平野綾拳(ひらやまりょうけん)(25)容疑者も依頼されて殺人を犯したクチだ。栃木県那須町で宝島龍太郎さん(55)、宝島幸子さん(56)を殺害し、死体遺棄と焼却による死体損壊で逮捕された。

 

 

死体消却は恐らく証拠隠滅だろう。



が、事件はそう単純では無かった。

平野容疑者は依頼者の名前を頑なに口にはせず、指示役から出頭を命ぜられていた。



指示役は佐々木光(28)容疑者。

そして実行役は元俳優の若山耀人(わかやま・きらと)(20)容疑者と韓国籍の姜光紀(カン・グァンギ)(20)容疑者。若山容疑者など子役で名の知れた存在だったらしく、その凋落が嘆かれた。

 

 


 


首謀者は夫婦の娘の内縁の夫で関根誠端(せいは)(32)容疑者と夫婦の知人で前田亮(36)容疑者が逮捕された。平山容疑者は仲介役に過ぎなかった。

 







平山容疑者の供述によれば、報酬は合わせて1500万円。取り分は佐々木容疑者が100万円、自身が900万円、姜容疑者と若山容疑者が250万円ずつ。

金に釣られた連中を操っていたわけだ。

1人の人間を死に至らしめるまで多くの根を張らせ、本人に直接関係のない人間が他者を殺めると非常に操作が困難になる。

金銭が発生するような受注形式になると容疑者同士の関係性の薄さは増してしまい手に負えない。非常に有効なビジネスモデルだと皮肉を言いたくなる。



しかし1人が捕まれば芋づる式に関係者が洗い出されるケースもある。

これは初めに捕まった人間の口の堅さ、義理人情にほぼ全ての責任が掛かっている。まさか捕まった瞬間に毒を飲んで自らを口封じする程の猛者は犯罪界には居ないだろう。オトシマエどうのこうので指を自ら切る人間など皆無。


犯罪を軽い気持ちで犯すような人間の世界に義理人情に厚い人間など居ない。

依頼主と関係が薄ければ薄い程に義理も無くなっていく。

平山容疑者もは初めこそ口を閉ざしていたが、結局警察の保護下に居る安心感からか情報提供してしまったから共謀者が捕まっていったのだと思う。

まあある意味、共謀者が多いと親玉に辿り着きやすくなっているとも言える。



そのうち大して悪くも無い人間も巻き込まれないか心配なやり方だ。

何も知らない人が「このビルで○時になったらこのブロック塀蹴って欲しい」と依頼され、別の何も知らない人が「ここにこの人を誘導して欲しい」と依頼されたとする。崩れたブログ塀は誘導されてきた階下の人に直撃しして死亡。

何も知らない人を寄せ集めた分業殺人か。

僕も知らぬ間に巻き込まれたり、殺されてしまう可能性も十分に有り得る気がしてくる。


君子危うきに近寄らずで生きたいが、正直誰に犯罪の萌芽があるのかは簡単には判断出来ない。
 

 

…いや、やはり「人は見た目によらない」かは、完全に個人差があると思う。

 

 

関根容疑者と対峙する被害者を見て思うのは、次のシーンでナイフで被害者が刺殺されても僕は余り驚かないかな。