「観ていると興奮する!正義がどうとかでは無く、悪いことした奴が逃れようと抵抗して捕まる姿がたまらない!」

身内が私人逮捕動画を観てこう語っていた。

僕は全然観ないが、好きな人間からすると堪らないコンテンツらしい。


ガッツchを運営する中島蓮こと、元暴力団員の今野蓮(30)容疑者とスタッフと思われる奥村路丈(28)容疑者が逮捕された。

罪状は囮捜査の真似事。女性に成りすましメールで一般人に「覚醒剤を使って性行為をしよう」と持ち掛けた。一般人が現場に現れたら、予め連絡していた警察に現行犯逮捕をさせようとした。

新たな逮捕の形態を思い付いたつもりなのだろうが、「興味はあるがどちらに転ぶか瀬戸際を揺蕩っていた人を犯罪者側に引き込む」という犯罪の誘発を招きかねない。

世の中にはラインを超えようか超えまいか迷いつつ、偶然ラインを超えるに到らず結果的に無犯罪で人生を終えた人もいるはず。僕も全然例外では無い。誰もが何かの拍子に其方側にいってしまう可能性は十分にある。



にしても僕は今野容疑者に対して嫌悪感が止まらない。今野容疑者の口から「正義」の言葉が出ることに。今野容疑者は正義では無い。

私人逮捕をして「犯罪撲滅」の御立派な目標を掲げてはいるが、その実は痴漢撲滅や盗撮などに差して興味もないビジネスマンだった。

先月YouTubeの収益化が止められ、翌日には今後も活動は継続していく旨、クラウドファウンディングで活動費ならぬ生活費を集める宣言をした。

バットマンのように「己の利益を考えず悪と戦う」のが純粋な正義であり、利益を得るために悪と戦うのは正義ではなく仕事だ。

例えば海外でよく聞く「雇われ傭兵達」は国の為に戦っているのではなく、仕事だから戦っている。そこに正義だの悪だの国の為だのといった義理など存在しない。ただ仕事だからやっているだけに過ぎない。

それなのに「正義のため」と口にする今野容疑者の姿は、あまりにも偽善過ぎて不快なのだ。

煉獄コロアキこと杉田一明容疑者もそうだが、正義のフリして犯罪者を捕まえれば視聴者から褒められ、変な脳内麻薬が分泌され病み付きになるらしい。

マトモに働くつもりが無いので収入源と賞賛欲求のためにやっているのだ。今野容疑者の元暴力団の肩書のせいで、カタギになって社会復帰している方々にも大きな迷惑だ。


いっそ開き直ってはどうだろうか?

「自分は社会に出て働くのは無理で、お金を稼ぐ方法に乏しい。ただ犯罪者を捕まえることは出来る。これを俺の正式な仕事にさせてくれ!俺は正義なんて一切興味は無いが、犯罪者が減ればWin Winだろ?犯罪者に法の裁きを与え、俺は代わりに金と名声を得る。知ってるか、犯罪者を捕まえることって結構世間的に歓迎させるんだぜ?俺も称賛されて脳汁全開なんだ。感謝もされて大金も得られる。こんな素晴らしい仕事なんて他にあるか?他の仕事なんてもう無理さ。頼むからさ、俺の私人逮捕を応援してくれよ。YouTube収益だけなんてケチ臭いこと言わずによ、定期的にクラファンやるから沢山貢いでくれよな!みんな、オラに現金を分けてくれ!」

こんな風に言ってしまえば、もはやダークヒーロー側に突き抜けることすら可能かもしれない。お金の為にやっているのに、変に善人ヅラするからこんなことになる。

冤罪を作り出す可能性も十分にあるし、そうなったら今野容疑者は責任を取れるのだろうか?毎日使っている電車で「痴漢かもしれない」のレッテルが貼られたら、それが事実であろうが無かろうが被害者の人生は大きく変わる。


そして恐いのが、今野容疑者のクラウドファウンディングに150万を超える募金があった事実...。

僕は私人逮捕により英雄扱いは止めた方がいい派だが、そうではないと考えている人達の多さ。

恐い世の中になったものだ。


ちなみに前科者でもあった。元々こういう人だったようだ。ある意味、ブレてない。