「盗んだバイクで走り出す」ことに憧れを持つ世代は確かに存在した。伝説的アーティスト尾崎豊の有名な歌詞の一節。
尾崎豊が亡くなり今年で30年が経過した。流石に四半世紀と超えてくるとかつて伝説扱いされた存在も色褪せてきてしまう。日常的に彼の名前が上がることはほぼ無い。
しかし常に変化する世の価値観に照らし合わせると、尾崎豊の世界観は「ただの迷惑な人」なんて形でバッサリ斬られてしまうことも多々。
僕はその世代ではなく憧憬の念も特に無いため、同じく迷惑で関わりたくない人だと感じてしまう。
26日、窃盗容疑などで無職の市橋蒼(あおい)被告(21)を逮捕した。なんと府警は24件(被害総額約482万円相当)に対する裏付けが完了しているとのこと。
尾崎豊とは全く無関係の年齢だが盗んだ3台のバイクを駆使して大阪を走り回り、自転車や徒歩の人から現金の入ったカバンを奪い取った。
24件って...。そんな回数成功してしまったら油断しまくり犯行もどんどん雑になっていくことが想像出来る。割とよく聞くシンプルな犯行ながらかなりの回数を成功させていることから、市橋容疑者がもう少し賢かったらまだまだ捕まらなかったであろうと推測できる。
市橋容疑者がなぜ犯行に走ったかは無職なのがそのまま答えに繋がる。
追い詰められて犯行に至った人間は複雑な感情を混在させた空気を纏っていることがほとんどだ。車の中でピースフルを表現したのは筧真一、長久保浩二、そしてしぇしぇしぇと幾人か例が存在するが、ガンギマリしていたしぇしぇしぇを除く2人からは何処かしら自棄な心情から来る哀愁や心苦しさを感じた。
だが市橋容疑者からは自暴自棄になり自分の人生を捨てて犯行に及んだ人間が発する悲壮感を一ッッ切感じない!
「...世の中間違ってる。俺は日本社会の被害者だ」
といった憤りは伺えず
「ハッハー!やってやったぜ!ザマーミロ!」
な痛快ささえ感じさせる溌剌としたバカだ。見ていて気持ち良くなるなんて無神経な言葉は控えるが、罪の意識が全くない様子に清々しさと不快感を覚える人は少なくないだろう。
ここから問答無用に有罪で刑務所にぶち込まれるのが確定しているわけだが、是非脱走でも試みてもう一波乱くらい起こして欲しい。
脱走できたらまさにルパン3世!無邪気に微笑む市橋容疑者が容易に脳裏に浮かぶ。
最後の最後までその笑顔でバカを貫き通してくれ。折れて項垂れたアンタなんか僕は見たくない。