世間的には漸く認めたかと攻撃の対象になっている飯塚幸三(90)元被告。

 

僕個人としては何とも後味の悪い結果となった。とてもではないが、胸がスキっと爽快なんて気分ではない。

 

確かに飯塚幸三元被告は結果的に2名の人間を殺めてしまった。それは紛れもない事実である。杖が必要な程足が悪い彼が車を運転していたことも事実。きちんとした運転が可能かどうかも怪しい。

 

 

だが彼に待つ結末は恐らく獄中死。

 

5年と言えど95になる彼には結末が訪れる可能性は高い。

 

 

正直現在の日本では免許返納は非常に敷居が高い行いである。特に田舎は交通インフラ自体が未発達で、バス停まで歩いて1時間掛かる地域もザラにある。免許返納者にバス賃や電車賃が多少優遇されたところで、生活自体が成り立たなくなってしまうのである。

 

そういう人達が返納しないのに、飯塚幸三元被告に返納しろとは個人的にはあまり強く言えない。結果に焦点を当てばそれが正解であったが、あくまで結果論に過ぎない。彼はある分野において非常に大きな社会貢献をしている。根っからの悪人であるとは考え辛い。車がおかしかったと訴えていたのも、もしかしたら本当に調子が悪かったのかもしれない。

 

老人は免許返納をしろと訴えている方も多いが、恐らくその大半は自分が返納する側になったら時のことを考えていない。自分がその立場に立った時、車によって齎される利便性を公共交通機関の多少補助を天秤に掛けたら、車を手放すという選択肢はまず取らない。

 

 

更に彼への批判が高まった理由の一つとして、上級国民という特別扱いがある。

 

この件は僕も納得がいっていないが、果たして彼は望んでそのような扱いを受けることを頼んだのであろうか。上級国民連盟なる組織が存在したとして、彼は「頼む!権限を行使させてくれ!」と頼んだのであろうか?もしかしたら頭がボケていて本当にやっていないと思い込んでいて、日本中の上級国民以外が敵に回った感覚に陥ったかもしれない。

 

真実は分からないが、彼が頼んでもいないのに上級国民として扱われ、火に油を注ぐような状況が自然と出来上がってしまったのなら気の毒な気がしてしまう。

 

 

 

彼の刑が確定した今、尚更寂寥感が心に渦巻いている。

 

 

彼も晩節を汚す勿体ないことをしてしまった。

 

 

どうすればよかったのか、即答できない自分が居る。

 

以前は怒りに満ちたことを書いたが、現在の僕の心境はそれである。