あっちゃー、間違えてるぞ、あの名作の名前を。いや、前の前の回の書き込みで小松左京氏の著作名を間違えて書いてしまったのだ。正しくは「ゴルディアスの結び目」であった。なんたること、でもしかし、この短編(中編?)集は傑作である。SF好き以外の人にもお勧めである。

 

 小松左京氏の著作は中学生くらいから読み始め、亡くなる寸前まですべての著作を読んできたほどのファンとなったのだ。「地には平和を」を始めとする短編集はどの作も、もう別世界に投げ込まれる如くの没頭度だし、何より日本SF界の金字塔ともいえる「果てしなき流れの果てに」という超名作など、もはや必読であろう。

 話題になって映画化された「日本沈没」や「復活の日」も小説の方が遥かに説得力はあるし面白い。「見知らぬ明日」とか「継ぐのは誰か」などの中編も素晴らしいし、ジュブナイルの「青い宇宙の冒険」も大人が読んでも面白いSF作だ。

 

 ただ残念なのは、終盤の大作「虚無回廊」が2巻までで終わってしまっていることで、この壮大な物語(地球近傍空間に出現した、直系1光年、長さ2光年という驚くべき物体を調査するお話)で、物語のホンの入り口で終わって、続編が書かれていないのが本当に悲しい。きっと世界が驚愕するSF物語となったであろうと思うぞ。

 

 小松氏はずっと大阪在住で、仕事で上京すると「ピザを食おう」と星新一さんや筒井康隆さんを電話で呼び出し、その頃、唯一ちゃんとしたピザが食えた「ニコラス」に集まったらしい。

 で、その頃、貧乏学生だったらしい椎名誠さんは、その「ニコラス」の地下で皿洗いの深夜バイトをしていたらしく、皿を洗っていると三島由紀夫が来たとか、有名作家が来たとかで騒いでいたらしい。で、やっぱあまり手の付けられていないピザなんかをちょろっと食べたりして、これが異国の味か、などと思っていたらしい。

 後に椎名誠氏も日本SF大賞を受賞するなどしたのも、不思議な縁かもしれない。