先日、ブックオフとかの100円、200円コーナーを漁った時、これは前にも書いたのだが「池波正太郎の世界」というムック本を200円で発見したことがあった。実はその時、その並びで「総特集 内田百閒」という河出書房新社のムック本も見つけたのだ。こちらも200円、こういうのがあるから古本漁りは止められない。

 

 こちらは百閒先生の珍しい写真や短文が収録されているが、なにより三島由紀夫、山口瞳、色川武大、種村孝弘など錚々たる顔ぶれの評論集が読みどころか。

 そんな顔ぶれの中に、何故かかせきさいだーとか松村雄策とかのエッセイが並んでいるのが面白い。松村さんのエッセイは多分「ロッキングオン」収録のモノだと思うが、実はおれが内田百閒の名前を知ったのも、高校生のころ読んだ同誌の松村さんのエッセイだったはずだ。

 

 で、実際に内田百閒の著作を読んだのは、大学入学してからだと思うが、文庫版の「御馳走帖」という食べ物エッセイ集であった。そしてこれが、まあ面白い。「おからでシャンパン」とかの名作から、晩御飯のおかずと晩酌具合を、夕方からあれこれ思案する様子など、食いしん坊百閒の面目躍如である。

 ちょうどその頃か、確か旺文社だと思うが、文庫市場参入時に、内田百閒の数ある作品を続けて文庫化したことがあって、それらを少しずつ買求めて読んでいくのも楽しみであった。

 

 すべからく、良い作家は食いしん坊で、またそんな食べ物にまつわるエッセイなども上手である。内田百閒、池波正太郎、開高健などね。そう言えば村上春樹もちょっとした食べ物エッセイが上手く、確か、昔の新幹線の車内販売で売られていた薄いハムとチーズを挟んでクラシカルに箱入りで売っていたサンドウィッチでビールやスコッチを飲む話があって、それ以来、おれはサンドウィッチでビールを飲むと言う楽しみを手に入れたのだった。