先般行った、バンド新年会の動画が送られてきた。どうやら自分の葬式の時に流して欲しい音楽の話題らしい。新年早々、縁起でもない話だが、多分、自分らの近況を語るうち、自分の病気やら、親や親族の介護や病院通いなどの話題から、そんな話になったのだろう。

 その選曲もそれぞれの個性が出て面白いのだが、最年長アキラさんは「オール・ライト・ナウ」フリーであると。ま、葬式の場で「全然大丈夫だよ」とか言われても困るし、カワイちゃん選曲「ホーム・トゥナイト」エアロスミスなどでは、いまさら「ホーム」に帰ってこなくていいから、早く成仏してくれと言いたくなるわな。

 自称バンド広報、雪さんは「星の彼方へ」フリッパーズ・ギター、彼女らしく、星の彼方に飛び去って行くかの様。おれはと言えばイエスとかのプログレ集か「アイム・ノット・イン・ラブ」10CCだって。死んだその後、「恋だったんじゃないよ」とか言われて、じゃあなんだったんだとか、参列者を困惑させてどうするってね。

 

 佐々涼子「夜明けを待つ」を読み始める。佐々さんと言えば「エンジェルフライト」や「エンド・オブ・ライフ」とかの、「死」を題材としたルポ作が多い作家である。今作は、その彼女の短いエッセイ集で、前半はやはり「死」についての文章が多い。

 「生と死は地続きで繋がっている」と書いたのは村上春樹だったが、このエッセイでも、人間が、まるで自然に「生」を受け入れるように、「死」を受け入れる、それはまるで潮が満ちるように、という。

 

 少し引く。「ムンクは言う(中略)我々は誕生の時に、すでに死を体験している。これから我々を待ち受けているのは、人生で最も奇妙な体験、すなわち死と呼ばれる、真の誕生である。一体何に生まれるというのか?」

 

 「我々はみなどこからか来て、そしてどこかへ過行く途中なのだ。」