透析の時間は、大抵映画など見ている。先日見た、ある恋愛映画の中での会話で、男のほうが、女に、この花の名前は何?と聞くシーンがある。女のほうが、すこし躊躇いながら、女の人に花の名前を告げられるのは良くないの、的な会話がある。こんな会話、話の筋とは殆ど関係ないから、すっと流してしまうな。

 

 ああ、これは、あれだな、とおれは思う。「くるり」の「春風」と言う曲にもあって、「言葉をひとつひとつ探して、花の名前をひとつ覚えて、あなたに教えるんです」と言う歌詞である。2番では「花の名前を忘れて、あなたを抱くのです」と変化する。

 

 ご存じの方も諸兄も多いと思うが、これは川端康成であるな。「別れる男に、花の名をひとつは教えておきなさい。花は毎年必ず、咲きます」と。

 毎年咲く、その花を見るたびに、昔別れたオンナを思い出す、と言う仕掛け、その時、別のオンナと見ているのかもしれないし、また別のオンナに産ませた子供と見ているのかもしれない。これはつまり「呪い」であるな。

 

 うーなんだか、うすら寒くなってきた。花の名前を教えられたこと?そんなこと、あんまり、いやほとんど、まあ、なんとなく、いやいや、決して、うーむ。