時報仙人
ブログネタ:叫びたい言葉 参加中我々取材班は俺町山の奥深くに来ていた。
なんでも昼の12時になったら叫ぶ男、通称・時報仙人がいるそうだ。
近隣(にはほとんど人はいないが)住民からは迷惑がられているわけではなく、既にチャイムのような感覚になっており、この叫び声な聞こえたら、昼飯を食べる習慣となっているらしい。
その時報仙人が最近めっきり叫ばなくなってしまったらしく、住人達は心配して我々取材班に調査を依頼したわけだ。
つーか警察を呼べよ。
俺町物語 時報仙人
「ここか」
よく言えば斬新、悪く言えば適当な地図を元に時報仙人の住む家までやってきた。
約3時間の探検に百戦錬磨の取材班もさすがに疲弊の色を隠せなかった。
早く生存確認をして帰ろう。
「すみません!誰かいらっしゃいますか?」
古びた小屋の扉の前で声をかける。
築何年になるんだろうか。
とても人が住んでいるようには見えないが。
などと、小屋を観察しているうちにドタドタと足音を響かせて、誰かがやってきた。
「誰じゃ」
「あっ、私俺町新聞の・・・」
「帰れ!」
食い気味に帰れと言われることは取材をしていたら何度かあったが、名を名乗ろうとして制止されることは始めてだ。
「新聞は取らんと昔行ったはずだ」
どうやら、この男は私を新聞勧誘の営業マンだと勘違いしているらしい。
それにしてもこんな辺鄙なところにまで勧誘に来るのはどこの新聞社だ?
まさかうちの営業じゃあるまいな。
「あ、今日はその件ではなく、取材をしに参りました」
「取材???」
「ええ、なんでもこの辺りから正午になると人の叫び声が聞こえてくると噂になっていたんですが、その叫び声がつい最近ぴたっと止まりまして、もしかしたらその叫び声の主になにかあったのかと思い、調べに参りました。」
私が説明する間、男は古びた戸ごしに黙って話を聞いていた。
「もしかして、あなたが叫んでいたんじゃありませんか?」
「そうだとしたらなんなんだ」
「なにって・・・叫んでいた理由はなんだったんですか?」
「叫びたいときに叫んで何が悪い」
なんだろうこの男からはロックの真髄を感じる。
「なぜ、正午に叫びたくなるんですか?」
「それは・・・笑っていいともが始まるからだ」
「笑って・・・いいとも・・・?」
「そうだ。笑っていいとも。これこそ俺の生きがいだった。笑っていいともが放送されると俺はテレビに向かっていいともおおおおお!と叫ぶのが習慣となっていた。その声を聞いた周りの住人の反応も面白かった。こんな辺鄙なところに住む俺にとって唯一のコミュニケーションが叫ぶことだったんだ。それなのにーーーーー」
「笑っていいともは終わってしまった」
「そう。俺はなんと叫べばいいのかわからなくなり、それと同時に生きる楽しみも失った」
「ヒルナンデスやバイキングじゃだめなんですか?」
「叫びづらいだろうが。」
「じゃあ・・・俺町なんてどうでしょう」
「俺町?」
「響きがいいでしょ?」
「俺町・・・俺町・・・俺町!」
「その息です!」
「おれまちーーーーー!!!!」
「ということで、時報仙人さんには今日から俺町新聞の宣伝をしてもらうことになりました」
「いや、宣伝って言っても叫んでいるだけじゃないか」
「それが彼の生きがいですから」
「?」
今日も俺町山の奥から叫び声が聞こえる。
「おれまち!!!!ありがとう!!!」と。