雨傘 | 俺町物語

雨傘

雨が降ってきた。突然の雨だ。私は傘を持っていなかった。どうしよう、と考えているうちに雨が私をずぶ濡れにしていく。自分はこの世で最も不幸な人間なのではないのか、などという妄想をしているまさにその時だった。ふいに私の真上に傘が現れ、雨から私を守ってくれた。見上げるとはにかんでそっぽを向いた少年が立っていた。
人はこういうちょっとした出来事の中で恋に落ちていくのかもしれない。そう思った雨の昼下がり。