古井
僕の名前は古井。
古いものが大好き。
駄洒落じゃないけど。
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住宅街の一角に、古井の家がある。
決して駄洒落ではないが、古井の家は古い。
中に入ると、これまた古いものばかりである。
古いものなんて、どこにでもあるじゃんとお思いの方もいよう。
しかし、古井の古いものは、古いだけじゃない。
駄洒落じゃないが、振るいにかけられているのだ。
古井の古い眼によって古いものが次々と振るいにかけられていくのを、見たと証言する者があとを絶たない。
「どうして古いものばかり、集めてるんですか」
我々取材班は問うた。
すると、古井は古いマスクを外して、古いパンツを穿き、古い箪笥から一枚の古い書類を取り出した。
「これは・・・?」
古井は、俯いた。
我々取材陣は、勝手ながらもその書類の文字を読んだ。
『離婚届け』
確かにそう書いてあったが、なにしろ古いので、字が霞んでいた。
古井は無言で、配偶者の欄を指指した。
「こ、これは・・!」
苗字:今井
そう、生まれた瞬間から、彼にはとういてい無理な話だった。
離婚を破棄するなんてことは。
「どうせ、二言目には、あなたが古いから・・だよ」
普通の人間なら、自棄酒、自棄食い・・・様々な鬱憤の晴らし方をするだろうが古井は違っていた。
「おらぁ、間違ってるとは思わねぇ。古いもの大事にして何が悪い?だから、いつかアイツを見返したくて、必死で古いもの集めてるって寸法よ」
古井さんは、江戸っ子だった。
話方からして、現代にはない漢らしさを感じる。
しかし、問題はあった。
彼の元・妻今井さんは、取材班・班長の黒井の現・妻なのだ。
この事実を言うべきか、言わざるべきか。
どちらにせよ、今井は黒く染まっている