あれは、あざみ野第一小学校5年生の時。同じクラスに、シゲトという友人が転入してきました。
彼はバーレーンという国からの帰国子女で、運動神経もよく、今で言うイケメンで、凄くイイ奴で。
しかも、気さくな奴で。私はすぐに仲良しになり、いつも一緒に遊んでいました。
そんな彼は、5年生の終わり?ぐらいで、ご両親の転勤により、また引っ越していきました。
寂しいなあと思いながら、サヨナラの握手をしたことを覚えています。そして、またいつもの日常に戻りました。
小学生ぐらいの年代は現金なもので、シゲトとの思い出も日に日に薄くなりました。
でも、たまに思い出しては、元気にしてるかなあ、と、ふと彼の顔を思い浮かべていました。
珍しいかも知れませんが、小~中学時代の友人たちは、生涯の仲間として、私の宝物となりました。
そして、高校、大学、社会人となり、出会った友人、先輩、後輩たちも、素晴らしい仲間となりました。
本当に仲間には恵まれているなあと、今では毎日のように感じています。
少し遡りますが、あれは高校生の頃でしたでしょうか。家にとある青年がやってきました。彼は私に言いました。
ある青年 「ヨシダだよ。本当にお久しぶり!」
私 「ヨシダ?お、おう、久しぶり・・・」
やばい、全然、思いだせない・・・
でも彼は、構わず、話しかけてきます。
ある青年 「○×○×△・・・ほんとに懐かしいよね!」
私 「う、うん・・・」
そして、彼は、どんどん続けます。
ある青年 「○×○×・・・」
私 「う、うん・・・」
・・・だめだ、どうしてもわからん・・・もう、あかん!思いきって、正直に言うんだ!
私 「すまん、誰だか、分からない!」
ある青年 「え・・・えええ・・・」
ある青年 「俺だよ、ヨシダだよ!」
私 「本当にごめん!ヨシダって分からない!」
ある青年 「ほら、あの時、一緒に○×した、ヨシダだよ!」
私 「うーーーん・・・うーーーん・・・すまん!やっぱり分からない!」
そして、30分後。遂にあきらめたある青年は、とぼとぼと歩いて帰って行きました。
本当に申し訳ないな、と思いながらも、誰だか分からないのに、話などできませんでした。
幼少期の記憶など、こんなものです。
そして、大人になり。ふと、小学生の頃の写真を見ていました。
すると、あの懐かしい、「シゲト」の写真が写っていました。
お、シゲトだ!ほんとに懐かしいなあぁ~、ヨシダシゲト、元気にしてるかなあ?」
うん・・・?ヨシダ・・・?シゲト・・・?
はあぁぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁああぁぁっぁぁああああぁ~~~~
あいつ・・・ヨシダじゃん・・・・・・
5年生の時、彼のことを、ヨシダなんて、一度も呼んだことはなかった。
俺が遊んでいたのは、シゲトだ!ヨシダなんかじゃない!と、いくら言い訳しても、聞いてくれる相手もいない。
それからというもの、ことあるごとに、ヨシダシゲトのことが脳裏をよぎります。
どなたか、運動神経が良く、イケメンで、最高にイイ奴の、ヨシダシゲトの情報があれば、どうか教えて下さい。
あの日の事を、心から謝りたい。シゲト、本当にすまん。いつか再会できる日を、楽しみにしています。
石原鉄兵