法令は安全を担保しない | ordina M3 2013年式RM348 を買ってみたブログ

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ブリヂストン oridina M3(2013)を購入したことから始まったサイクルライフ!

先日、ツイッターにてこんな投稿を見つけ、皆さんのコメントなどを拝見しておりました。

 

 

ダンプカーの後ろに肉迫するロードバイクについての動画なのですけど、YouTube でちょっと検索してみると同じような動画が色々見つかりました。

 

●動画A-1:

 

 

こっちの動画はブルベかな?

 

●動画A-2:

 

 

皆さん、この動画を見てどのように感じられたでしょうか?

 

■コメント欄の意見を見ていくと:

私がこの動画を見たときの率直な第一印象は、「うわ、危ない!」…でした。
しかし、動画に付けられたコメント欄を見ていくと、様々な意見があることに気付き、本当に勉強になります。
コメント内容は大きく分けて、「法令面からのコメント」と「安全面からのコメント」に分けられるようです。代表的なものを挙げてみると、こんな感じ?

●法令面からのコメント:

  • 後続する自転車側には、車間距離保持義務がある。
  • 追いつかれた大型車は、後続の自転車に進路を譲る義務がある。
…などなど。

●安全面からのコメント:

  • 前走する大型車が急ブレーキをかけた場合、追突して危険だ。
  • ヘタに車間距離を開けると、自転車の後ろの車両が無理な追い抜きをかけてきてかえって危険だ。
…などなど。
 
他にも色々なコメントがありますので、気になる方は調べてみてくださいませ。面白いですよ。
 

■法令は安全を担保しない:

法令面からどちらに違反があるのか…という議論は、実際に事故が起きて訴訟になった時にはとても重要です。これによって刑事上の処罰や民事上の損害賠償義務が決まります。
しかし、ここで意識しておかなければならないのは、それはあくまでも「事故発生後の処理」の話だということ。
「法令を守っていれば安全だ」…なんて、誰も保証してくれてはおりません。
 
このことは、ちょっと意識して考えれば当然のことだと思うのです。
 
最近の自動車にはエアバッグが搭載されている車両がほとんどだと思いますが、それは何故でしょう? 法令に定められたシートベルトだけで安全なら、エアバッグなど必要ないはずでは?(欧米諸国では義務化されているそうですけどね)
サイクルスポーツを愛する皆さんがヘルメットを装着するのは何故でしょう? 少なくとも現在の日本においては、自転車乗車の際にヘルメット着用の法的義務はありませんが?
 
法律上の義務を守るだけでは十分に安全ではないからこそ、エアバッグやサイクルヘルメットがあるのだと思います。
 
法令を守ることは、もちろん大切なことです。
 
しかし、たぶん私などが言うまでもなく、誰もが暗黙の裡(うち)に知っていることだと思うのですけど、
「法令を守ること=安全であること」…ではない!
…ということも、また、しっかり意識しなければならないと思う私であります。
 
 
今回取り上げた動画について、どちらが(もしくは双方が)適法か違法かという話は重要でないわけではありませんが、それは安全性とは別次元の話だと思うのです。
 
そして、法的にいくら適法であったとしても、事故には遭いたくないというのが、すべての人に共通の認識なのではないでしょうか。
合法かどうかより、安全かどうか。安全が最優先だとは思いませんか?
 

■君子危うきに近寄らず:

結局、私が思うことはこの一点。
「君子危うきに近寄らず」
 
こんな動画もありました。
 
●動画B:
 

 
目的地へ早く到着したいなら、自動車を使えば良いのです。実際、私はそうしています。
しかし、私は自転車が好きです。なぜなのでしょう?
それは、目的地へ早く到着することとは異なる価値をそこに見出しているからなのではないでしょうか。
 
そうであるならば、どうして自動車と張り合う必要がありましょうスピードを出して急ぐ必要がありましょう
 
私は自動車を日常的に使いますし、自転車が好きでもあります。
 
自転車が過度に自動車に気を遣う必要もありませんし、自動車側から自転車への安全配慮も当然に必要ですが、
小回りが利かず視野も狭い、図体がデカくて不自由で不器用な自動車のために、自転車側が君子の寛大な心で譲ってあげる姿勢も大事だな…と、最近はそう思っている私です。
とはいえ、譲り過ぎると、ギリギリをすり抜けるような無理な追い越しをかけてくる危険な自動車もいるので、加減が難しいのですが…(苦笑)。
 
例えばこちらの動画。
 
●動画C:
 

 
この動画Cの場合、もちろん危険な追い越しをかけたダンプカーには大きな問題がありますし、自転車は合法的に走行していると思うのですが、そもそも道幅の狭い道路ですので(危険回避のために自転車が歩道を走行することも認められるでしょうから)、自転車が歩道を走行(もちろん徐行)したり、適切な場所で止まって後続車両を先行させるなどの配慮があっても良かったかもしれませんよ?
合法的な選択肢の中から、(時に不条理な)現実に即した、より安全な選択肢を選ぶのが賢いやり方と思いますし、時には必ずしも合法でない選択肢であったとしても、安全のためにあえてそれを選ぶことが必要なケースもあると思うのです。
 
いくら法令を守っていても、ダンプカーに引っ掛けられたら確実に死にますからね…。
ですから、逆に考えると、この動画Cのダンプカーの行為は「未必の故意」と「認識ある過失」の中間の、かなりの割合で殺人未遂といっても良いくらいの危険行為だと思うのです。
したがって、私はこのダンプカーの行為を一切擁護いたしません。むしろ責められるべき行為と思います。
 
そんな”不条理な現実”の中で私たちはどう安全を確保するのか。理想社会で暮らしているわけではない私たちに必要なのは、そういう視点だと思うのです。
 
皆さま、いかが感じられたでしょうか?
 

■本当の原因は何?:

ちょっと視点を変えてみてみましょう。
 
今回取り上げた動画においては、
「ドライバー」vs.「サイクリスト」
…という対立軸で語られることが多いようですが、本当にそうでしょうか?? 別の見方はないのでしょうか??
 
 
私は思うのです。いえ、私だけではなく少なからざる皆さんが思っているはずです。
「そもそも、巨大なエネルギーの固まりである鋼鉄の自動車と、非力で華奢な人力車両の自転車が、同じ1つの道路を共用していることに問題があるのではないか?」
…という視点に立った方が、建設的な議論の種になるような気がする私なのですけど、いかがでしょうか?
 
そんなわけで、私は、
「歩行者とも自動車とも物理的障壁により明確に区分された自転車専用レーン」の導入に賛成です。
 
大切なのは「物理的障壁により明確に区分された」…という部分。歩行者が入り込んできたり、自動車の駐車スペースにされてしまったりすることのない、つまり、単なる道路ペイントではない、物理的障壁で明確に区分された自転車専用レーンです。
ついでに言わせてもらうと、ここで言っているのは、ロードバイクの練習場ではない、極論するなら”ママチャリ天国”としての自転車レーンですけどね。
 
そんな、自転車にも自動車にも歩行者にも優しい、安全でエコで健康的な道路環境が、日本にも実現することを願っております。
 
 

■追伸:

だいたい、そもそも、ダンプカー直後でその汚い有害な排気ガスをもろに浴びて吸い込みながら自転車乗って、何が楽しいのか、私にゃさっぱりわかりませんけど???