骨董品に携わっていて避けることができないのが
偽物
です。
骨董品に偽物は付き物。真贋の見極めができないような骨董屋は早晩つぶれるでしょう。
中島誠之助さんの本など読むと、昔の骨董屋さんは小僧のころから主人にこき使われながら修行したとか書いてますが、ああいう修行が必要だったのは、偽物を見極めるためなんですよね。修行する中で、多くの商品と出会って、そうするうちに物の善し悪しや値段、売れ筋かどうかといった判断が付くようになるという訳です。
勲章にも偽物はあります。
でも、勲章の良いところは、前にもちらっと書きましたが、見極めが非常に容易です。外の骨董に比べてという話ですが。
なぜなら、勲章は国家のプロジェクトとして作られますから、その製造は通常国立の造幣局やそれに準ずる大メーカーなど非常に技術水準の高いところが作るんです。だから、工業製品のように画一的にきちっと作られている。
「だらしない」造りの勲章はたいがい偽物です。
たとえば↑この勲章。帝政ロシアの聖スタニコラス勲章で、そうですね、実物は15万円程度はするんではないでしょうか。遠くから見る限り雰囲気がでていますが、近づくと若干赤のエナメルの色が悪かったり、金具の接合が甘かったりしています。このくらい良い出来のレプリカになると写真では真贋は分かりませんが、それでも、実物を知っている人にとっては、近づいてみれば一目瞭然です。ちなみにこのレプリカの価格は1万円程度です(レプリカでも1万円するところがすごいといえばすごいですが)。
実は外の骨董品(焼き物や絵画)の見極め方も「だらしないかどうか」という点では同じなんですがちょっと勲章とは意味が違うんですよね。
勲章は、工業製品の不良品か合格品かどうかの見極めに近いです。
骨董は、手作業のセンス(丁寧な仕事かどうかも含む)の見極めです。
もっとも、19世紀初頭以前には、宝石商が勲章製造を請け負うなどしていた時代がありました。したがって、古い勲章の鑑定には、手作業のセンスの見極めも加味されてきます。ここらへんが難しいところですし、さらに勲章は着用されたりして破損しますから、汚れて破損した勲章の見極めはさらに困難にはなります。しかし、
勲章の真贋は、センスの見極めではなくてだらしないかどうかの見極め
という本質を間違えなければ、99%偽物には捕まりません。捕まるとしたら、あなたの心に「スキ」があったんです。
でも、その「スキ」ってどんなベテランでもあるんですよね~次回はスキの話!
