こんにちは。
今日は、金襴(きんらん)について書いていきます。
「金襴緞子の帯締めながら~・・・」の歌をご存知でしょうか。
この歌のように、日本では、金襴も緞子も、帯によくみられる、光沢のある豪華な紋織物です。
日本では着物を想像するとわかりやすいので、まずは綸子から見ていきましょう。
☆綸子(りんず)
ジャガードの章でも紹介いたしましたが、
訪問着や、長じゅばん・伊達襟などに多く見られる綸子という生地は、
地紋があり、なめらかで光沢のある絹の着物地です。
訪問着や、長じゅばん・伊達襟などに多く使われています。
撚りのない糸で、朱子織り(しゅすおり)といって、
たて糸とよこ糸の組織点(交差するところ)が少なく、たて糸、またはよこ糸の浮きが多いため、
表面が滑らかになり、すべりもよく、強い光沢があるのが特徴の織り方です。
ひっかき傷に弱いので注意が必要です。
他にはサテン、ベネシャン、ドスキンなどがあり、フォーマルウェアやブラウス、裏地などに使われています。
綸子は、この朱子織りの表組織と裏組織(編み物でいう表編み、裏編みみたいなもの)を組み合わせて模様を出し、
織りあがった後で、精練(せいれん・染めるための前処理)や染色を行っていきます。
強撚糸(きょうねんし)といって、普通の糸よりも撚りを強くした糸で織られると、
シボのある織物になり、綸子縮緬(ちりめん)といって、手描き友禅などの高級着物に用いられます。
室町から桃山時代(16世紀)にかけて、南蛮貿易により、
中国の明から縮緬の織物とともに技術が伝えられ、京都・西陣や堺で織られるようになり、
江戸時代初めに着物地として定着したといわれています。
次に緞子です。
☆緞子(どんす)
綸子と同じジャガードの一種で、同じ織り方ですが、違うところは、
先染め糸を使っていることです。
たて糸・よこ糸の色を変えることで、多色の文様を出すことができるのが特徴です。
やや重めな仕上がりで、「金襴緞子の帯締めて~」の歌でも出てきましたが、
現代でも代表的な、帯や、茶の湯の道具である、
茶入れ
や茶わんの仕覆(しふく)、
掛け軸の表装や袴などに珍重されてきました。
鎌倉時代から南北朝時代(14世紀)にかけて、のちに説明します金襴(きんらん)とともに中国から渡来し、
室町時代(15~16世紀)の茶の湯ブームに乗って盛んに輸入されました。
綸子より少し早く日本に伝わったようですね。
国産化が始まったのは、江戸時代初期(17世紀はじめ)ころといわれています。
やはり京都・西陣で始まったようです。
そこから発展していき、17世紀末ごろには、女性用の着物や帯に用いられるようになったということです。
ということで、綸子と緞子について書いてきましたが、
綸子と緞子にあたる洋服地は、「ダマスク」と呼ばれています。
詳しくはジャガードの章をご覧ください。
さて、金襴についてです。
金襴とは、平金糸(ひらきんし)といって、紙に金箔をはって細く切った金箔糸、
あるいは金糸で文様を織り出した絢爛豪華な織物のことです。
銀の場合は銀襴といいます。
なめらかで光沢のある朱子織りの緞子に、金箔糸で文様を織り出したものを「金襴緞子」
綾織りの錦に織り出したものは「金襴錦」
紗の生地に織られたものは「金紗(きんしゃ)」と呼ばれます。
帯をはじめ、袈裟、法衣、能装束などの伝統芸能の衣装に多く見られます。
金襴は中国の宋朝に発達し、明の時代に全盛期となりました。
緞子など、禅宗の伝来とともに、様々な織物の袈裟が伝わったのですが、
金襴は高僧の袈裟として、鎌倉時代に渡来し、
室町~桃山時代(16世紀)にかけて多く日本に輸入されました。
「金襴」の由来は、
中国で「天子より賜った袈裟」が「金襴衣・金襴袈裟」と呼ばれたことからといわれています。
そのように緞子とともに盛んに輸入された金襴は、
豪華で華麗なため、茶の湯の発達に伴って「名物裂(めいぶつぎれ)」の最高地位に置かれました。
日本での生産ですが、桃山時代(16世紀後半)からで、
まずは大阪・堺で始まり、京都・西陣にて生産が本格化されました。
古くから、金を使った織物は、印金(いんきん・接着加工するやり方)のように、
金箔を生地に張り付けたり、
金糸でのちに刺しゅうを施したものはあったのですが、
金箔糸を織り込む技術が編み出されたのは宋代(10世紀~12世紀)になってからで、画期的な技術でした。
現在でも、金箔糸を織り込んだ金襴は、
日本・中国以外では見られない独特の手法で、特技とされています!
これはびっくりですね。
あしたは、名物裂について書いていきます。
金襴を使った洋服は、リメイクのオーダーにはあるかもしれませんが、
重厚なものですから、洋服地にはないということです。
そういったものも取り入れて、リメイクのアドバイスも致します。
それか、こちらは着付け教室もやっておりますので、リメイクではなく、結べるようになってもいいですね(笑)
アトリエ「KAYOKO」