出典:国税 2008 民法
意思表示に関するア~エの記述のうち,判例に照らし,妥当なもののみをすべて挙げているのはどれか。
ア:錯誤による意思表示の無効を主張するには,法律行為の要素に錯誤があること及び表意者に重大な過失がないことが必要となるが,動機の錯誤も動機が表示されて意思表示の内容となった場合には,法律行為の要素の錯誤となり得る。
イ:錯誤無効は表意者の保護を目的とするため,表意者に意思表示の無効を主張する意思がない場合には表意者以外の第三者が錯誤無効の主張をすることは許されないのが原則であるが,第三者において表意者に対する債権を保全する必要があり,表意者が意思表示に関し瑕疵があったことを認めている場合は, 当該第三者は表意者の意思表示の錯誤による無効を主張することができる。
ウ:AB間の土地売買契約が通謀による虚偽表示である場合,買主Bから当該土地を買い受けたCは,AB間の売買契約が虚偽表示であることについて善意無過失であっても登記を具備していなければAの土地返還請求を拒否すること ができない。
エ:AB間の土地売買契約に関して,売主Aが,当該売買契約は買主Bの詐欺によって締結されたものであるとして取り消した場合,取消しにより土地所有権はA に復帰し,Aは,当該取消しによる物権変動について登記を具備していなくても,取消し後にBから当該土地を買い受けたCに対して対抗することができる。
1 ア,イ
2 ア,エ
3 イ,ウ
4 ア,ウ,エ
5 イ,ウ,エ
正解:1
ウ→第三者として保護されるには、登記を備えることを要しない。
なぜなら真の権利者Aと第三者Cは当事者関係にあり、対抗関係には立たないからである。
エ→Bを起点にして、取消による復帰的物権変動とBからCへの売却の二重譲渡状態、そしてAとCは対抗関係にあり、先に登記を具備した方が勝つ。(取消後の第三者)