改めて言うまでもないが、このブログは、他者のために書かれているというよりむしろ、自分がそのつど思ったり考えたりしたことを書き留めるという機能を果たしていると言ってよい。したがって、以下に記すこともそのたぐいであり、しかも、またしても経済について、門外漢(経済学者でも経済のアナリストでもないという意味で)のくせに書こうとしている。と、ここまで書いておけば、素人のたわごとでしかないことは明白だろう。以下、勝手な思いつきないし思い込みを書くために、まずは注意書きとしてこれだけのことを記しておく。

 その上で、ではなぜそのようなたわごとを書くかだが、現在全世界的に流行している新型コロナウイルス感染症、特に新型肺炎、の問題で、どのような対処が必要かということについて、真に納得の行く話が見受けられないように思われるからである。筆者自身が目にしているのは基本的に新聞記事(特に朝日新聞)のたぐいであり、また、そこからいわゆる「ジャンプ」をして見ることのできる論説(特に朝日新聞の「論座」の論説だが、それだけではもちろんない)であり、それらの中には専門家とおぼしき人々の論考もあるはずなのだが、真に納得の行く話は見られない。そしてもちろん、政府が行なっている施策に至っては、全くもってtoo little, too lateであり、そういう施策が出てくる背景には、ものの見方の根本的な誤りがあるとしか思えない。その誤りとは何か、真に納得の行くものの見方とは何か、それを、ド素人なりに考えてみたい、というのがこの記事の趣旨である。但し、繰り返すまでもないが、以下に書くことは、いかなる専門性の土台にも立脚などしていない。

 つまり、納得が行かない一番の理由は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策として現在世界じゅうで行なわれ、もちろん日本でも行なわれている外出抑制(国によっては外出規制であったり、日本のように外出自粛要請であったりするのだろうが、どちらも外出抑制であることには変わりがない)が、今経済に対して何をもたらしているか、言い換えれば、外出抑制の結果、今、経済はどういう状態にあるのか、この問いへの明快な答えが見受けられない、という点にある。では今、外出抑制の結果、経済はどういう状態にあるのか。これに対する明快な答えはたぶん、筆者の素人考えによれば、今の経済は心肺停止状態にある、ないしは、ほとんど心肺停止状態にある、というものである。

 この言い方がどれほど大げさか、それとも大げさでないかは、もちろん読む人が各々考えるが良いだろう。ただ、私見によれば、こう考えないと、それへの正しい対応策が打てないだろうと思われる。つまり、もし仮に、今の経済が心肺停止状態にある、ないしは、ほとんど心肺停止状態にあるのであれば(そして言うまでもなく、ここで話の前提にある経済の死とは、考えるまでもなく文字どおり経済の崩壊であり、そんなことになれば国が成り立たなくなる、その程度・規模の話である)、必要なのは、経済に人工心肺をつけて、何とかして血液を循環させることだ、となるはずである。経済の血液とはもちろんカネであり、したがって、何とかしてカネを流し続けねばならない。(カネの流し方には、個々人に対する現金給付や所得補償など、家賃支払い猶予支援や住宅ローン支払い猶予支援、企業への休業補償、納税猶予、など色々やり方があるだろうが、当然ながら、これら諸方策は、経済の死を避けるためには総動員されねばならないだろう。)とすれば、そんなことができるのは、通貨発行権を持っている国、すなわち中央政府以外にはありえない。カネを流し続けるには、当然ながら、カネを刷り続ける必要があるからである。というふうに考えてくれば、今、例えば日本国政府がやろうとしていることがどれほどうすのろ間抜けかは、明々白々となるだろうと思われる。今の政府は株価対策しかしておらず、実体経済の収縮という、まさに今回新型コロナウイルス感染症の流行との関連で(より正確には、流行を防止するための外出抑制との関連で、と言ってよいだろうが)生じた状況に対しては、ろくな対策を打ってきていない。

 これに対して、確かに今は経済が大不況に入るとば口にあるが、としても経済が心肺停止状態だなどとは大げさにすぎる、といったような見方があるだろうか。このような見方のほうが正しければ、今日本国政府がやっているような政策(総額108兆円だか117兆円だか知らないが、その相当部分は今後の景気の回復局面で効いてくるような内容であるらしい、そういう政策)でも、或いは容認されうるのかもしれない。しかし、どうだろうか。人口の大半に対して家にとどまれ、外出するな、と言っておいて、それでも経済活動が止まらないと考えることは、よほどの能天気でしかありえないだろう。しかも、今の経済で動いている部分(食品を販売するスーパー等、それから運送業、そしてもちろん病院、など・・・あとどれくらいの産業が果たして現時点で「動いている」と言えるのか?)は、決して盤石な形で動いているわけではなく、例えば郵便局で感染が判明したりすると、当該郵便局は少なくとも数日閉鎖に追い込まれたりと、vulnerableな形で動いていると考えるほうが正しい。そしてさらに、外国からの輸送にも今や大きなブレーキがかかっており、しかも多くの外国も日本と同様に大幅な経済収縮に見舞われているわけだから、現在の外出抑制の状態がさらに数か月続けば、今はまだ流通しているような物資すら不足してきても決して不思議ではない。といったことを考えるなら、今の経済は極めて深刻な状態にある、と考えるほうが妥当なように筆者には思われる。

 なお、仮に今の経済が心肺停止状態にある、ないしは、ほとんど心肺停止状態にあるとして、カネを刷り続けて供給し続ければどうなるか。もちろん、確実にインフレが起こる。しかも、これまでに安倍政権のもとで(円安誘導以降)起こってきていたインフレとは異次元の(つまり、比べ物にならない)インフレが生じるだろう。これ自体は大いに問題である。しかし今は、カネを刷り続けて供給し続けなければ、経済は心肺停止から死に至ってしまうだろう。なので、これをやらないわけには行かない。したがって、やった上で、インフレが起こったところで、対策を考えねばならないのだろう。これは、或る種、地獄ないし修羅場に突っ込むことを覚悟せねばならないというような話ではないかと思う。

 そしてさらに言えば、仮に外出抑制が緩和できるような状態になった時には、その時にはその時で、経済活動を回復の軌道へと乗せるために、やはり大幅な財政出動が必要となるだろうと思われる。そしてこれまた、確実にインフレを起こすことであるだろう。

 そして、巷間言われているところ(かつ、筆者から見て正しいと思われること)によれば、感染症は第1波では終わらない可能性があるという。だとすると、その感染流行の波に合わせる形で、今後の経済は、人工心肺の取り付け→(外出抑制の緩和期に)大幅な財政出動、を繰り返さねばならなくなるのかもしれない。そういうことで果たして国家財政が、また経済それ自体が、持続可能であり続けるのかどうか。これは、もちろん経済の門外漢には予測しようもないことである。