落とし穴 | 七人の経営会議 サポートブログ

落とし穴


こんにちは!代表の小川 です。

普段からお世話になっている会計士の方から

今年の3月に、
民事再生法適用を申請したワイキューブ元代表、
安田佳生さんの独占手記が掲載されているよ

と、連絡があったので、
さっそくプレジデントの8月1日号を買ってきました。

ワイキューブ倒産の件は、
以前、このブログでもとり上げたのですが、

当時はまだ、
精度の高い情報はかぎられていて

内情は、おそらくこうだったのではないか

と、8割方、憶測で書きました。

さて、真偽のほどはどうだったのだろう?

たしかめる意味もあって、さっそくページを繰ってみました。

憶測とおおきな差はありませんでしたが、
ひとつ、再認識したことがありました。

なにを売っているのか、わかりにくいビジネスは、
いずれジリ貧になる

という商売上の原則です。

安田さんは、手記の中でこう言っています。

たしかに、リーマンショックの影響は大きかった。
だが、それよりも前の段階で構造的に、
もう私たちの事業は駄目になっていたのだ。

新卒採用にプラスして、
大急ぎで新しい商材をつくる必要があった。

07年、私たちは新たに「企業ブランディング事業」を開始した。
人の次はブランドだ。
中小企業が大企業よりいい人材を採って、
大企業以上のブランドをつくることができたら、
こんなにおもしろいことはない。

そう考えて、銀行からの借入金を
どんどんブランド事業に投資していった。


ここで見逃せない点はつぎの2点。

企業ブランディング事業って何?なにを売っているの?

つまり、瞬間的に売り物が見えない、という1点。

もうひとつは、

中小企業が大企業よりいい人材を採って、
大企業以上のブランドをつくることができたら、
こんなにおもしろいことはない


という安田さんのロジックは、
じっさいのマーケットでは通用しなかったという1点。

安田さん自身も、マーケットの読み違いを認めています。

要するに、なにを売っているのかがわかりにくいので、
啓蒙という名の投資(お金、そして時間)が必要で、
にもかかわらず、
確実に存在すると思われたマーケットサイズが、
予想を大きく下回っていたという
笑えない現実が横たわっていたのです。

私たち経営者も、気がつかないうちに
というか、
うすうす気がついているのだけれど、自ら目をつぶってしまい、
この「笑えない現実」にはまってしまいます。

私自身もはまった経験があるので
他人事とは思えないのですが、
この落とし穴、別名、「思い込み症候群」と言います。

ビジネス構造の大半が
「思い込み」と「期待」とで構築されているので、
現実のマーケットに踏み出せば踏み出すほど、

「こんなはずじゃなかった」

が露呈してきます。

そして、この思い込み症候群から派生したビジネスは、

20分ほどかけて説明してもらわないと売り物がわからない

という致命的な特徴をもっています。

八百屋なら野菜、魚屋なら魚、餅屋なら餅を売る。

マーケットから見て、これがいちばん自然なこと。
ところが、ついつい八百屋さんが、
野菜を使った「お料理レシピ」を売り始めてしまう。

ワイキューブでいうと、

企業は「優秀な人材が欲しい」のに、
「優秀な人材を採用するためのノウハウ」を提供してしまう。

しかも、一度はノウハウを欲したとしても、
いったん手に入れてしまうと二度目はない。

その挙句に、

で、おたくは、いったい何屋なの?

問われ続けるビジネス構造。続くはずがありません。

マーケットの欲しいものに
もっともっと接近できればよかったのですが、
安田さんの場合、
財務上、とき、すでにおそし、を迎えてしまったのです。

今週の教訓)

餅屋が、「お餅のつき方」なるノウハウを販売するのなら、
私は何屋かを説明する、
充分なお金と時間を覚悟せよ。

マーケットは、
似て非なるこの二股をゆるさない。


PS.
上に記した「充分なお金と時間」とは、
いったいどれくらい必要なのでしょうか。

業界、業態にもよりますが、
中小企業の場合、お金に換算して1億。
時間にして定着3年、飛躍5年、完成9年が、
ひとつの目安だと私は考えています。


--(株)ワンReソース・バンク ---------
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