もう一度ドラッカーがおしえてくれた | 七人の経営会議 サポートブログ

もう一度ドラッカーがおしえてくれた


こんにちは!代表の小川 です。

ボストンコンサルティンググループの前代表、
内田和成さんの本を読んでいたら、

ピーター・ドラッカーの次のことばが紹介されていました。

経営における最も重大なあやまちは、
間違った答えを出すことではなく、
間違った問いに答えることだ。


「正しい答えではなく、正しい問いが必要だ」という論調は、
いまにはじまったことではありませんが、

経営者にとっての「転ばぬ先の杖」という意味では、
折にふれ、
心に刻んでおきたいフレーズです。

少し前に遭遇した、こんな実例をご紹介しておきましょう。

ビルやマンションのメンテナンス業を営むYさんと、
もともとは、別件でお会いしていたのですが、

要件が片付き、
世の情勢について雑談がはじまった頃のことです。

次のようなご相談を受けました。

(この、ご相談内容をブログに書くにあたっては、
Yさんの了解を得ています。実名は伏せることが条件でした)

知り合いからの紹介で、
ある講演会を聞きに行ったところ、
あたらしいビジネスモデルのことを知った。

そのあと、講演会の関係者の方から、
お金をかけなくとも
短期間のうちにはじめられるこの「ニュービジネス」について、
さらにくわしい説明を受けた。と、いうよりも
「営業」をかけられた。

この時点では、

「そんなにうまくいくかな」

疑心暗鬼だったけれど、
三度営業をかけられたとき、
私と同じ講演会に出席した人が準備をはじめている、
と聞いて、あせってしまった。

で、このニュービジネスをスタートさせるための、
「いまいちよくわからない」とある勉強会に参加することになった。

訊けば「参加費はうん十万」とのこと。

だまされたと思って申し込もうと思うのだけれど、

「小川さん、どう思います?」

私、一瞬、のけぞりそうになりました。

だまされたと思わなくとも、Yさん、あなた、
だまされてますよ・・・・

ただ、のけぞってばかりもいられません。Yさんと向き直ると
私は次のように答えました。

『どう思う?』意見を求められているくらいだから、
Yさん自身はまだ迷っていて、
こんな話にのって大丈夫かな、そう思っているのでしょ?

Yさんは「それもありますけど、はたして、
いまの僕にできるかな、って心配の方がおおきいです」

次の瞬間、

あ、Yさんは、参加しようと決めているな。

と思いました。と同時に、

でも、ニュービジネスとやらを
はじめようとしているのではなくて、

ニュービジネスをはじめるためにあらかじめ準備された
さまざまな仕組みやルール、
そういったいくつかの「レール」の上を、何人かと連れ添って走ること。

そのことに魅力を感じているのかもしれないな。

と、感じたのでした。

私はYさんに、次のような提案をしました。

なんだか答えを出す方向で、そんな雰囲気になっていますが、
もう一度、「問い」から考え直してみませんか、と。

「いまのYさんの問い、というか迷いは、

たしかに理屈にあったビジネスモデルではあるけれど、
いまの僕に、できるかどうか?

ですよね?」

「まあ、そうです」

「その前に確認しておきたいことがあります。
そもそもYさんの会社に、
そのニュービジネスとやらは必要なのでしょうか?」

「必要じゃないですか。このまま、いまの仕事をつづけていても、
他と代わり映えしないし・・・・」

「他と代わり映えしないYさんの会社には、
それでも
いちばんのお得意さまがいらっしゃるのでしょ」

「でも、売上が下っていて・・・・」

「いつ切られるかわからない?」

「不安ですね」

「お取引して、何年になりますか?」

「古いです。先代のときからだから・・・・」

「その間、Yさんの会社の屋台骨を支えてきたわけでしょ?」

「ですね」

「それなりの対応をしてきたのでしょ?」

「ずいぶん無理をきいてきました。とくに価格の面ではね」

「価格の面だけですか?価格の面以外でも、
いろんな問題が寄せられたのではないですか?それこそ
難問・奇問の類も含めて・・・・」

「そりゃいろいろとありましたよ」

「その都度、対応してきたのでしょ?
お金になるかならないかは別にして・・・・」

「お金にならないことの方が多かったかな。でも、
放っておくわけにはいかないし・・・・」

「お金になるかならないかは別にして、
数々対応してきたことのなかに、
商品化できるサービスはありませんでしたか?」

「・・・・?」

「その中から
他の会社でなら、お金を出しても欲しい、
そんな内容のことをしてきませんでしたか?」

「・・・・・・・・」

Yさんは、とおい目をしていました。

私は、少し急ぎ過ぎたのかもしれません。

「いずれにせよ、いまのYさんにとって正しい問いは、

ニュービジネスに取り組むかどうか

取り組むとして、できるかどうか

できるとして、どうすればよいか

ではないように思います。

Yさん、あなたの会社に、
目の前のニュービジネスとやらは、ほんとうに必要なのですか?

その前に、やり残していることはありませんか?

この問いに応えるところから、もう一度はじめてみませんか」

私がそう言うと、Yさんの肩の荷は少し下りたようでしたが、
スッキリとした表情ではありませんでした。

それはそうでしょう。

「やり残していること」に的をしぼって
そこにエネルギーを注ぎ込むことの方が、
はるかに重い課題だろうからです。

その後、この件はどうなったかって?

後日、Yさんから

「ニュービジネスの件、しばらく様子をみることにしました」

じつにYさんらしい表現でご連絡をいただきました。

(でも、これからの方がたいへんですよ、Yさん・・・・)

そうして私は、誘われるようにしてドラッカーの原典、
創造する経営者」を読み返してみるのでした。

重要なことは、
いかに適切な仕事を見つけるかではなく、
いまだ「機会」の与えられていない
なすべき仕事に、
いかにして資源と活動を集中させるかである。

by P.F.ドラッカー


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