私は一人のしがない科学者である。

助手はいない。
家族もいない
―――孤独には慣れている。

私は今、
データ上にある一つの世界を作って管理している。

と、言ってもまだ試作品。

実用化には至っていない。

私は一般的な動物を買い取って
意識のみをデータ上に移し、
プログラムで作った身体を与え
管理、実験をしている。

植物はプログラムで賄える。

もちろん、
自分の意識もデータに移す事だって出来る。

当然戻る事だって出来る。

そしてコノ世界の管理はある生き物。
といってもプログラムだが―――に任せている。

『それ』は至って簡素なつくりで、
四角い板に点のような目と口。
板の下には棒が一本。
私達で言う足のようなモノだ。

『それ』に意思は無い。

ひたすら働き、
約半年で自然消滅する。

そのため私は随時プログラムが生産されるように
データ上の世界の地下に工場を作った。

そして一緒に世界を制御する
機具その他もろもろも配置した。

そこで『それ』はひたすら働く。

働いて働いて働いて働いて
働いて働いて働いて働いて
働いて働いて働いて働いて

そして消えていく。


そんな時私はある悪戯を思いついた。

その悪戯とは

『一つの『それ』に意思を持たせる』

事だった。


私はさっそく実行に移した。

まずは一時プログラムの生産を中止させる。

そしてプログラムに変更を加えたモノを一つだけ生産する。

私はそれを『オリジナル』と名付けた。

その後プログラムを元通りにして生産を再開。

私はオリジナルを24時間監視する事にした。


オリジナルは私の思った通りの行動に出た。

まずは仲間のプログラムに会話を試みる。

しかし他のそれには意思が無い。

もちろん会話が成立するわけも無く、
オリジナルも仕方が無いので仕事に移る。

そして外の世界を映したモニターを見たオリジナルは、
外の世界に憧れを抱いた。

そしてその思いはすぐに行動に現れた。


ある日オリジナルは仕事場を抜け出し、
外につながる私達で言う
エレベーターのような装置に向かった。

そしてなんの躊躇いも無く上の世界に行くボタンを押した。


私はそこまで見ると自分の意識をデータ内に転送する事にした。


私がそこに辿り着くとオリジナルはただ呆然と空を眺めていた。

改めてみると本当にきれいな空だ。

データとは思えない。

オリジナルは私の姿を捉えると、
初めて見る生き物に興奮したのか、
それとも喜びの表現なのか、
身体を大きく揺らした。


私は十分楽しんだ。

悪くは思わない。

私は一つ微笑んで意識を元の世界に戻した。

いい結果が取れた。

今後の実験に生かそう。

私は数回キーを打った。


削除【デリート】




この作品は俺の成長が少し見て取れる作品となりました。
オチもまぁしっかりしてるし、場面の展開も所々おかしいところもありつつもまぁいい感じだし。
まぁ特に欠点も無く良点も無い作品です。

NEXT!