4本目。たまたま、用事のない一日がぽっとできたので、久しぶりにアマプラで映画を観ました。
原題:Emperor
監督:ピーター・ウェーバー
キャスト:マシュー・フォックス、トミー・E・ジョーンズ、初音映莉子、西田敏行、片岡孝太郎
1945年8月、日本が連合国に降伏し、第2次世界大戦が終結。ダグラス・マッカーサー元帥率いるGHQが日本に置かれ、米軍統治が始まる。そんな時、日本文化を研究し、日本に対して格別な思いを抱くボナー・フェラーズ准将は、太平洋戦争の真の意味での責任者は一体誰なのかを調査するようマッカーサーから極秘に命じられ、独自に調べを開始するが……。~映画.com~
2013年アメリカ映画。太平洋戦争直後の日本とアメリカの史実をもとに描く歴史サスペンス。実在の人物が多い史実もので、よくこんな似た俳優さんたちを探したものだと思いながら見てました。東条英機を火野正平、近衛文麿を中村雅俊、木戸幸一を伊武雅刀・・。いや、もともと似ているというよりも役者さんたちの演技力で「似せて」いるのだと気づきました。そう思うとトミー・E・ジョーンズのマッカーサー元帥も雰囲気をそのままコピーした感じ。
作品のテーマは「天皇の戦争責任」。天皇を戦犯として裁いてしまうと、日本国民の人心が離反し、その後の日本統治・復興が難しくなると考えたアメリカはなんとか天皇の責任を回避させ、東条らにすべてを転嫁しようとしていました。
GHQ将校がこれにあたって日本人の精神性、天皇の意味などを調査していく下りも同時進行であります。「天皇万歳!」「カミカゼ特攻」など単なる狂信的国民といった表層的なもので日本軍を描写する戦争映画などが多いですが、彼が調査の結果たどりついた結論はもっと日本人の心の奥に踏み込んだ深い洞察であり、そこが大変印象的でした。彼が愛した日本人女性「あや」とのことはこの戦争映画の中でしっとりとした情緒を感じさせる部分であり、その結末は観終わってからもずっとあとを引く余韻として心に残りました。
12年前の作品です。西田敏行さん、火野正平さん、夏八木勲さん・・、いまは鬼籍に入られた俳優さんも多く出ておられました。あとで知りましたが、この作品の脚本にカズオ・イシグロ氏がかかわっているそうです。あの静かな悲しみを感じさせる余韻は彼の脚本だからなのでしょうか。