一人暮らし中の怖かった思い出

 

 

 

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一人暮らしは長かったので振り返ってみればこのジャンルに書けそうなことだけでもいろいろあります。最近神戸で女性が巻き込まれた事件、あのニュースを見ていて、こんなことがあったと思い出したことがありました。

 

クローバークローバークローバー

 

海外時代。前回書いた下町に引っ越す前に住んでいた街でのことでした。ある日の夕方、(固定)電話が鳴り、出ると知らない男性でした。私の名前をフルネームで訊いてきました。らりっているのか酔っぱらっているのか、妙な話し方で「今からキミの部屋にいく」みたいなことを言うんです。私の名前をフルネームで知っているということは誰か知り合いなんだろうか?と頭の中を高速検索してみたけど全く誰かわからない。しかし、こんな馴れ馴れしい話し方。どこかで知っている人なんだろうかと更に考えてみたけれど、自分の交友関係は当時でも常識的なきちんとした人たちばかりで冗談でもこういうことする人間は皆無。全く思いつかない。いったい誰なん?と思って、「あなた誰?」って訊いてみたんです。

 

そうしたら「君は僕のことは知らないよ。でも僕は君のことを知っている。ずっと君のことをみている。数日前に髪を切ったね。それから昨日の青色の服はよく似合っていた・・」なんていう。びっくり 実際、私はその数日前に美容院に行っていたし、前の日は青色の服を着て出勤していました。その瞬間の私の反応は「怖い」というより、「当たりすぎててびっくり」。

 

なんで私のことを知っているのか?その男性は話し出しました。暫く前(〇月〇日)に別の街で買い物をしている私をみた、というのです。それも事実でした。確かにあの街に行って洋服を買いにいっていました。「君は〇〇番のバスに乗ったので、僕は君のすぐ後ろに座った。でも全く気づいてなかったね」という。それも事実。私はその系統の番号のバスに乗って帰宅していました。男の人が私の後をつけているなんて「全く」気づきもしなかった。その男性は私がバス停で降りた時、一緒に降りたらしく、その後どう歩いてどのアパートに入っていくかもみていたというのです。(これ、今の時代に想像するとめちゃめちゃ怖いですね)

 

で、なぜ私のフルネームを知っていたのか。私の部屋番号を遠くから確認して、昼間に郵便ポストに届いている郵送物を盗み見していたようなんです。そこに当時は名前と電話番号がそのまま印刷された電話料金の請求書が届いていました。そのストーカーはそれを確認してからまた糊で貼りなおしてポストに戻していた、、という。えええ。ガーン

 

あの電話を受けた時、実は友達が部屋にいました。私の応対の様子をみて何かおかしいと気づき、「大丈夫?」と素振りで。私はメモ帳に「警察に電話して。変質者が私の名前とか全部知ってる!」と走り書きしました。友達はすぐに警察に電話してくれたのですが、その英語が心もとなかったのか?「すぐに行くから会話を引っ張れ、っていってるよ。」という。もしかしたら逆探知でもしてくれるんだろうか?って思って引っ張ってみたけれど、こんなラリッた相手と話し続けるなんてもう気持ち悪くて、拷問のよう。引っ張るだけ頑張ってみたけど、もうダメ!って思って切ってしまいました。ゲロー

 

しかし。それから一時間待ったけれど警察はこない。どういうこと?夏の夜だったけれど、あの変質者が家に来たらどうしよう。それが不安でいつもなら開けている窓とか全部閉めて鍵も補助の鍵まで動員して締めました。電話はそのあと、また鳴っていたのですが出ませんでした。

 

結局警察こないやん。友達の英語、通じてなかったやん(ごめん)!もう寝る用意しよう、と思った矢先・・・いきなりドンドンドン!!!って玄関のドアをけたたましく叩く音がしました。もしかしてストーカーが家に来たのではないかと思って心臓が止まりそうになりました。恐々覗き穴からみてみると、小さい穴の向こうに見えたのは制服を着た長身の警察官が二人が立つ姿。私はドアを開けました。その警察官の姿をみたら急に安心したのと同時にすぐに来てくれなかったことに怒りがこみあげてきて、なんかめちゃくちゃ相手に言ってしまいました。もう恐怖で感情的になっていたので出てくる英語がボロボロ。私の英語こそ絶対通じてない。泣き笑い

 

向こうは私を宥めながら、遅くなったことを謝ってきたけれどその理由が「週末は事件が多くてなかなか」みたいなことを言うんです。もう一体なんなの。あの後のことはよく覚えてないのですが調書を取ってもらい、暫くは周辺のパトロールを強化してもらうことになりました。警察官がいうには「そうやって女性が怖がるのを喜ぶやつがいるんだ。臆病な人間なので実際に行動に移すことは稀」と。大半はいたずらなんだと。一応、こんなことがあったという報告はしてくれたみたいだけれど、その変質者を探す、とかはなくてそれで終わりでした。その後、暫くは電話に出ず、留守番電話に切り替えるようにしました。電話音が鳴ることはそれから数度ありましたが留守電に切り替えたら無言で切れていました。そして私に対する実害も実際のところ何もありませんでした。職場でもこの話をしたのですが「まあ、そんな変なことが?」と一瞬驚かれたけど、それきり。「質の悪いいたずら」程度にしか受け止められていない感じがしました。

 

あの時の印象では、日本でもまだそうだったかもしれないですが、「ストーカー」って今ほどの認知度がなくて、言葉も一般的ではなくて、あまり深刻に受け止められていなかったように思います。日本でも女の子が警察に相談してもちゃんと取り合ってくれず、最終的に犠牲者になってしまったという事件がその後あったように思います。私の場合は警察官がいったように犯人は私がビビる姿をみて面白がっていたのかもしれません。「ストーカー」という言葉を知らない人が殆どだった時代です。なんでもそうかもしれませんが新奇な状況(前例が少ないもの)っていくら訴えても軽く流されてしまうものなんだということを後々思いました。

 

写真は一年前の琵琶湖。