万博開催に合わせて京都、奈良、大阪の三都市で開催されている国宝展。のんびりしていたら会期終了まで2週間を切ってしまいました。三か所の中で一番興味があった大阪の国宝展だけでも見ておこうと大阪・天王寺まで出かけてきました。
初めて訪れる大阪市立美術館。並ばず済むと聞いていたのでオンラインチケットを購入して出向いたのですが・・
なんと。チケット購入済の人でさえ「90分待ち」と。美術館前から続くこの行列、蛇行しながら裏のほうまで続いていました。仕方ないから待ちました(;'∀')。
実際に待ったのは1時間弱くらいだったか。待った甲斐がありました!これほどの数の国宝が一か所に集められる機会は滅多になく、素晴らしい日本のお宝の数々をこの目で見ることができました。教科書やメディアでの紹介で見てきた雪舟や尾形光琳、狩野永徳らの絵画、「火焔型土器」といわれる縄文時代の土器、平安武士の芸術的な甲冑、神話の世界に出てきそうな名刀とか。次から次にすごいのが現れるので混雑も気にならないほどわくわく。
作品写真はネットからお借りしたものです。
これも教科書でみた達磨に教えを乞うお坊さんの場面。自分の覚悟を示すために自身の片腕を切り落としたという。
たくさんの国宝展示の中で一番印象的だったのがこれ。
有名すぎる「伝源頼朝像」。本当は違う人物だったといわれていますが、誰もが知っている肖像画ですね。この前に立った時の第一印象が「想像以上に大きかった!」ということ。私はこれ、A2サイズくらいのものだと思ってたのですが、その倍はありそうでした。かなり迫力がありました。そして13世紀の作品とは思えないほど保存状態がよく美しい状態で残っているのです。伝源頼朝像だけでなく「神護寺三像」として三人の人物の肖像として展示されていました。
「伝平重盛像」
平家物語の清盛の息子、小松殿です。
「伝藤原光能像」
この人も平家物語に出てくる人物。
間近でみて思ったのは本当に精巧にその人物の特徴を描いているところでした。私はこういう歴史人物の肖像画は宮崎駿さんのアニメキャラみたいにみんなだいたい同じ顔なのかと思ってましたが。(;'∀') その目つきや鼻梁のかたち、口元のかたちとか多分本人を知っている人がみたら(もういないけど)、生き写しって思いそうなくらいしっかり描写されているし、真っ黒に塗りつぶされているかのように見える衣装も近くでみると繊細な模様が描かれていました。この衣装で三人の高貴さがより強調されているようにも思えました。三人の中では頼朝が一番りりしくてかっこよく描かれてました。教科書で見ていたのと全然違う。気づかなかったことにたくさん気づく。本物を直に目にする意味ってこういうことなんだなあって思いました。
縄文式土器。同じ時代にギリシャのあのすごい彫刻群が造られていたことを思うと、精緻さという面では比べ物になりませんが、「火が燃えているところを形にしよう」
なんて思うなんて自由だなあ、と。
これは唯一撮影可能だった展示品。何かと思ったら薬師寺東塔の水煙。
薬師寺東塔はフェノロサがこの建物のことを「凍れる音楽」って評しました。
美術館の館内。ステンドグラスを通して入る陽光で全体に黄色い雰囲気。この色合い、温かみを感じます。そして今回はとても素晴らしい展覧会でした!