京都御苑内、この築地の壁の内側が京都御所です。4月上旬、近衛邸跡のイトザクラを観に行った日、御所の見学もしてきました。仙洞御所や桂離宮などと異なり、ここは通年公開しているので事前予約は不要です。見学は二度目です。10分ほど行列して待ち、簡単な荷物検査をして中に入りました。ちょうど宮内庁職員によるガイドツアーが始まったばかりだったので、飛び入りさせてもらいました。

 

 

ここは明治維新までの天皇のお住まいであり、古来の内裏の様子をみることができます。現在の建物は安政年(1855年)の造営。

 

 

承明門からみる紫宸殿。

 

天皇に拝する朝賀の儀式や皇位継承儀式が行われた最も重要な場。檜皮葺の寝殿造りです。階段は18段あります。これは中国でもっとも縁起の良い数である9の倍数であるためなんだとか。

 

 

今年の大河ドラマをみていると時々、この建物が映されています。実際はほとんど全部セットで撮影していて、静止画像でのみが使われているとのこと。

 

 

御所内の他の建物も階段の数を数えたら9段になっていました。

 

 

清涼殿です。紫宸殿と並び儀式用の御殿。かつては日常の御殿としても使われていました。

 

 

 

京都の暑い夏を涼しく過ごすために東に面して建てられています。気づいたのだけど、壁がない? 固定壁が少なくて、引き戸でもなくて蔀(しとみ)という板戸を開閉していたようです。夏はよくても今の時代よりずっと寒かっただろう都の冬、暖房もほとんどなくてつらかったのでは。

 

 

 

京都で暮らしていた大学生時代、英語の勉強もかねて時々、外国人相手に京都の街を案内するアルバイトをしていたことがありました。イギリス人のお客様を案内したときに「日本でみる色彩は近隣の中国、韓国、東南アジアのそれと違ってとても柔らかくて優しい色が多い、日本の自然の色をそのまま映しとったようだ」と感銘を受けておられたことを印象深く覚えています。それまで身近すぎて気づかなかった美しい自然に恵まれた日本独特の色。外国の人だからこそ気づいたのかもしれないと感じた指摘でした。

 

もうひとつ京都御所を見学して気づいたこと。

 

庭や建物、あらゆるものに感じた「洗練」です。これまで日本国内、旅する先で有名な庭園があると必ず訪れてきましたが、どんな大名庭園や裕福な実業家が作った庭園よりもその洗練の度合いが違うように感じます。細部にまで気遣われて手入れされているというか、鄙にはない美しさ。こんなところに毎日足を運んでいたら美的感覚が育ちそうです。

 

 

 

 

 

上の一枚、偶然にも鴫が羽を休めに降り立っていました。宮内庁の方もこんなのはめったに見たことがありません、とおっしゃってて。

 

 

戦前まではもっと建物が多くあったのだけれど、戦中、空襲による延焼を防ぐため密集する建物を壊したという経緯もあったようです。

 

一時間弱のツアーでしたが充実した内容でした。今度は事前予約をして仙洞御所・大宮御所にも行ってみたいです。