先週の日曜日、落語会のあとで京都府北部唯一の国宝があるという綾部市の光明寺というお寺に行ってみることにしました。カーナビに導かれるまま出かけたのですが、農道の先にあったのはクルマ一台がギリギリ通れるくらいの細い細い峠道。4~5kmくらいの距離なのですが、それがくねくね道であるため、永遠に続くかのようで、なかなか目的地までたどり着かない!
もし対向車がきたらすれ違うことさえできないので、延々と何百メートルもバックするしかなさそうな道で。その道に入ってしまった時、やめておきゃよかった、と後悔しました。でも戻るに戻れない(Uターンできそうなところがない!)ので、半分泣きそうになりながら、そして対向車が来ないことを祈りながら、山道を登りました。過去にこんな道を何度か通ったことがあるなあと思い出していました。三重県や静岡県の山奥とか、あと学生時代に旅したネパールとか。(ネパールは運転手さんいましたが。)
幸い対向車は来ませんでした。ようやくたどり着いた小さい駐車場。その近くに長い石段、その向こうに本堂が見えました。
見ておかなければいけない?国宝仁王門はここから300m先とありました。平地ならたいした距離ではないけれども、かなりの傾斜300mの先です。いやあ、ここまできて行かない選択肢はないとこの坂道を下っていくことに。一組のご夫婦とすれ違いました。それ以外は誰もいない山奥。
このお寺、推古天皇の時代に聖徳太子が建立したと伝えられており、仁王門は1248年のものだそうです。
前に廻ります。上下二層に屋根があり、門の中で最も格式の高い造りなんだそうです。こうした重厚感のある形式はその後減り、もっと軽い造りの楼門に変わっていきます。なので、現存するこの二重門はとても貴重な建造物ということですね。
修理されて、とてもきれいになってます。ここ、本当に細い道の先で、山の上だし、よくこれだけの木材をここまで運んできて大工さんも作業をしたものかと思います。平安~鎌倉期に全盛期を迎え、当時はこの一帯に72の坊がある大寺院だったそうです。戦国時代に焼かれてしまい、仁王門だけが残ったそうです。いまとなっては半径数キロ内に人間はいないだろう寂しい山奥で、千年前の繁栄の様子など想像もつきません。
中には力士像もあり、もっとゆっくりみて写真も撮りたかったのですが、ここでちょっと怖いと思うことがあり、早々にその場を離れました。
下ってきた300mの坂道を今度は上る。傾斜がものすごく急で体感的に45度くらいの坂をのぼっているような感じがしました。(→当然、翌日以降、大変な筋肉痛でした。)もう足ががくがくぶるぶる。
いや、しかし、まだこの本堂がある。
国宝を見たし、もう帰ろうかと思ったのですが、もう二度とくることないお寺かと思ったので、ガクガクの足のまま手摺につかまり、なんとか石段の上まで。
世間では暖かい春で夏日が、といわれてるのに、ここにはまだ雪が残っていました。多分鐘のあたりから見下ろす世界は絶景。でもあまりにも足が疲れてしまってもう帰ることにしました。
なんだか大変なところでした。自宅に帰ってから調べてみたらもうひとつ、このお寺に至るルートがあるようです。でももう行くことないと思います。好奇心もほどほどにしておかないといけないと思いました。