年間100冊くらい読む本の中で多分今年一番刺激的で面白かったということになりそうな一冊。各所に沸々と湧き上がる著者のエネルギーを感じます。同時にぬるま湯的環境に浸りきった今のわが身にはビリっ雷とくるメッセージも。汗うさぎ

 

「芸術は爆発だ!」って叫んでいた変わったおじさん・・と子供の頃に思っていた岡本太郎氏。ソルボンヌ大学で哲学、社会学を修めたインテリでもありました。その高い知性と本質を射抜く視点からの考察はひりひりするような強さに満ちてます。

 

1930年代にパリにわたった著者は「若い時に世界の歴史に残るような思想家や芸術家と毎日のように会い、対等に話し合ったのは青春時代の大きな糧となった。」とと書いています。名前をあげられているだけでもマックス・エルンストやジャコメッティ、マン・レイ、アンリ・ミショー、カディンスキー、モンドリアン、ドローネーなど錚々たる人物たち。その交遊録の眩しさ!もうひとつ印象深かったのは芸術に行き詰ったゴッホの自死に関する考察。ゴッホは自分の胸にピストルを撃ちこんで24時間のうちに亡くなった。その時にこそ彼は芸術のなんたるかを知った、きっと幸せだっただろう、っていってる箇所。天才だけが天才の悩み、心のうちを理解できるのか・・って思いました。

 

人間とは混沌として猛烈な情感に満ちた存在。割り切れるものだけを是とする科学主義、合理主義の世界で本当の意味で生きることとは?っていう箇所も興味深かったです。便利で物質的に豊かになるごとに人間はその生命感を失う。生きる手ごたえみたいなのが感じられなくなるということか。著者が言うには「芸術」=「人間」。そして「爆発」とはドカンと大きな音が響いてモノが飛び散るようなことではなく、「全身全霊が宇宙に向かってパーッとひらく」こと。社会の枠に収まる生き方をしていると、そうした人間としての大事な部分が抑えられてしまうと。いろんな洞察を与えてくれる内容でした。

 

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初めて入ったJR東小浜駅近くの喫茶店で。焙煎もしてみえるためかドアをあけた時にふわ~っとコーヒーの香りがしました。常連さんが集う昔ながらのお店という感じでした。店を出て、車を出すとき、私がもたもたしていたので、オーナーさんがわざわざお店の外まで出てきてくれて、こうやって国道に出るといいよ、って教えてくれました。💦