これは私の実家で起こったことを従妹のひとりから聞いた話。

 

私が大学生だった時の夏休みのことです。お盆休みで親戚中が私の実家に集まってきていました。当時、社会人や大学生以上のいとこたちはもう親と一緒に帰省することもなくなったり・・で、遊びにきていたいとこは一回り年下の小学生ばかりでした。私自身もこの年の夏は一か月以上、南半球に遊びにいっていて不在でした。

 

なので登場人物はA君、B子ちゃん、C子ちゃんの3人です。A君とB子ちゃんは兄と妹。C子ちゃんは大阪に住む別のいとこ。当時は全員小学生でした。3人は夕暮れ時になって外で花火遊びをしようとしていました。でも大人たちは屋内でお喋りに夢中になっていて、なかなか外に出てきてくれません。待ちきれないので自分たちだけで小さい花火をして遊ぼうということになり、3人で手で持つ花火に火を点けて楽しんでいたそうです。

 

3人が花火に夢中になっていた時、背後に人の気配がしたそうです。3人全員がほぼ同時に後ろを振り返ると、そこに知らない女性が立っていました。想像するだけでとっても怖いのですが、その女性、長い黒髪で白い着物姿だったそうです。私はこの話をC子ちゃんから後日聞き、ゾッとしたのですが、C子ちゃん自身はその女性を見た時、全く怖いと思わなかったそうです。そのひとは貞子的な感じではなくて、とてもきれいで優しそうなお姉さんだったから・・、っていうのです。

 

白い着物姿のお姉さん・・。次の瞬間、なぜか突然、A君がそのお姉さんに向かって歩きだしたそうです。女性はくるっと背を向けて、走るように家屋の後ろのほうへ逃げていこうとしました。A君はまるで引き寄せられるかのように、彼女を追いかけて家の向こうへ駆け出しました。そのとき、B子ちゃんが突然、「お兄ちゃん、行ったらあかん!」って叫んだそうです。(このB子ちゃん、8人いる私のいとこたちの中で最強に霊感が強い子です。)それでもA君はお姉さんの後をおいかけるのをやめようとしません。B子ちゃんは突然泣き出しました。それでも心配だったのか泣きながら兄を追いかけました。C子ちゃんも二人が心配でその後に続きました。

 

白い着物の女性は家の裏まではその後ろ姿が見えたそうです。建物の陰のところに曲がるまではその姿が見えたと。3人が追いかけて、曲がった場所までいくのにほんの2秒か3秒。でもその先には姿がなく、女性は消えていなくなっていたそうです。

 

この話はそれでおしまいなのですが、子供たち3人全員がその白い着物の女性を目撃しているんですよね。女性は微笑むように自分たちを見守っているように見えたので、3人とも全く恐怖を感じなかったと。全員が全員、その瞬間は「あれ?このきれいな人、誰だろう?」って思ったというのです。時期的にお盆ということもありますし、先祖の誰かだったのでしょうか。その後、特段悪いことが起こったわけでもありません。家の中にいる大人たちの代わりに花火遊びをする子供たちを見守りにきてたのか。C子ちゃんからその話を聞いた後、自分の家ながら、しばらくの間は、その出現場所を見るのが怖くて怖くて仕方ありませんでしたが。